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同じ過ちを繰り返す横浜市大病院 2008年9月9日23:44
横浜市大病院事件/ミスに学ぶ体制つくれ
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/010923ja8050.html2001/09/23
患者取り違えで、医師と看護婦が初めて刑事責任を問われた横浜市立大病院事件の判決公判で、横浜地裁は、執刀医ら三人の医師と病棟看護婦一人に罰金、患者を取り違え手術担当看護婦に引き渡した手術室看護婦に禁固一年、執行猶予三年を言い渡した。疑問を持ち、患者の確認を主治医に求めた麻酔医は無罪とした。
刑の軽重には、異論もあるだろう。しかし、人の命を預かる医療現場でうっかりミスはいかなる理由があっても許されない。有罪判決は妥当である。「医師や看護婦は患者の識別をする注意義務を有する」という、ごくまっとうな裁判所の判断を医療全体への警告として、重く受け止める必要がある。
肺疾患と心臓疾患の患者を取り違えて、それぞれ必要のない手術をするという医療事故が起きたとき、多くの人は耳をうたぐったはずだ。現代医療の最先端に位置するはずの大学病院で、こんな単純なミスが起こるとは考えないからだ。
しかし、横浜市大病院事件は決して特別な事件ではない。この事件の後も、筑波大病院で取り違えが起こり、各地の基幹病院で薬品を間違えたり呼吸装置のバルブを誤装着するなどの事故が相次ぐなど、むしろ医療事故は日常化している感さえある。
国立大学病院の看護職員の93%が一歩間違えば医療ミスにつながる経験をしていることが、全国大学高専教職員組合の調査で判明した。
なぜ、医療事故は減らないのか。病院運営システムや人員、医学教育などの見直しは当然必要だが、同時に事故を教訓として共有する体制づくりが欠けていることを忘れてはならない。
患者取り違え事故だけをみても、九二年に起こった熊本市民病院の教訓は横浜市立大病院で生かされず、筑波大での事故にまでつながった。
ひとつには、事故調査のやり方に問題がある。ほとんどのケースは病院内の調査にとどまり、公表されることもまずない。今回の事故で、横浜市立大病院が外部の人材を加えた評価委員会を設置したのは参考になる。国レベルの事故調査委員会を常設し、すべての事故について調査結果を公開することも考えてみるべきだ。
国立大学病院長会議の作業部会が、事故防止策として、ミスの公表や患者、家族へのカルテ公開を決めたことは一歩前進だ。事故を隠さない。調査には第三者を加え、結果を公表する。「事故から学ぶ医療」こそが、「安全な医療」につながる。