EX-AR3とEX-AK1は継続となっている。
木製の11センチのフルレンジウーファー+ドームツイーターの2ウェイ標準機EX-AR5、
限定品の9センチのフルレンジシングルコーンユニットスピーカー搭載のリミテッドモデル、EX-AR3LTDの後継機EX-AR7、
カタログ落ちしてからそのままになっていた、ウーファーとツイーターをそれぞれ専用のアンプで駆動するマルチアンプシステムEX-A10の発展機で、ビクターのウェブサイトダイレクト限定販売商品EX-A150システムが発売される。
ウッドコーンコンポのシリーズはすべてCPRM対応となっておりデジタル放送を録画したディスクを再生できる。ブルーレイには対応していない。AVCHDにもおそらく対応していないと思う。
EX-A150を構成する各機器は単体でもビクターダイレクトで販売され、それぞれウーファー40ワット+ツイーター30ワット×2チャンネルのバイアンプ出力を持つアンプのRX-A150、CD/DVDプレーヤーで新たにHDMIに対応したXV-A150、システムのAR5と搭載ユニット口径は同じもののエンクロージャーのサイズが大型化されたSX-WD150がある。
ビクターダイレクト専用商品といっても、今のところの計画では少数のビクター特約店でも展示・販売する予定となっているそうだ。
プレーヤーのXV-A150は光デジタル出力がありMP3やWMAファイルの再生も可能でCPRMに対応している。そのためテレビのデジタル放送を録画したディスクも再生できる。
またUSB端子を搭載しておりUSBマスストレージクラスに対応したUSB機器の再生にも対応している。そのため対応したiPodやICレコーダーを接続して再生できる。
今回もDVD-Audioには対応しているもののSACDには対応していない。
要望は何度か出したものの今回も非対応となっており、SACDディスクをリリースしている陣営の最近のSACDへの力の入れ方から、もはやビクターがSACD対応のコンポを出す機会は事実上なくなったと思う。
Blu-spec CDなどの新素材・新製造工程のCDをリリースするなどSACD陣営はCDを置き換えSACDをメインに持ってくるのをあきらめたように思う。
スピーカーのSX-WD150はバイアンプ(マルチアンプ)駆動専用のためAR5のセットスピーカーと違いネットワークは当然ながら入っていない。
別機種でドライブする場合は4ch分のアンプとエレクトロニッククロスオーバーが必要になる。
ただユニットごとにSP端子があるので知識があればLCネットワークを組み低域と高域に分けて接続することもできないこともない。その場合、外にLCネットワークが出て見える状態になる。
エンクロージャー内部に置くこともできるがその場合は通常、メーカーは『改造』扱いと判断する。保証期間内であっても保障や修理が一切受けられない場合がほとんどのため、完全に自己責任、何があっても自分で対処するか泣き寝入りする覚悟が必要だ。
参考までにセットのA150のスピーカーのクロスオーバーは5.6キロヘルツとなっている。
アンプのRX-A150も単売されるためバイアンプ動作だけでなく、一般的なスピーカーを駆動するために40w×2の通常ステレオアンプとしても動作切り替えができるようになっている。
この場合、高域側のアンプは休止して使わないことになる。
ただ『予想実売価格40,000円前後』ということで市場にその価格帯の単体アンプあることからこの機能を使うユーザーは少ないと予想している。
もし、単体でよく売れこの機能が使われるとしたら、同価格帯でこの機種が一番音が良く極めて高い評価になり大人気になったときくらいだろう。ほとんどはセットで使われると思う。
個人的に一日のなかで一番長く使っているオーディオシステムはビクターのリミテッド版だ。
パソコンを使う時にパソコンの近くに設置できて、そのうちにパソコンをやる部屋でのメインシステムになった。
前はパソコン用のシステムと、音楽を聴くときのシステムと、テレビなどの再生用と複数の再生システムがあったが複雑で邪魔になったためリミテッドに一本化した。
音楽や映画の再生ならともかく、テレビやパソコンの音声の再生のためにコンポをつなぐのは無駄なような気がしていたが実際つないでみると結構いいものだった。
何より音質が耳障りでないのがいい。
一つにまとめて利便性が高まったが、不便と感じる局面はミックスして音声を再生できないことだ。
例えば音楽を聴くのをメインにして、テレビで天気予報や電車・交通情報を見るためニュース番組にしている時に音声をミックスして再生できればいいが、入力切り替えになってしまうので選べる音声はどれか一つになってしまう。テレビやパソコンの音声は必要な時以外は流し聞きで十分だが入力切り替えになってしまう。
ミキサーを買ったり、パソコンに音声を入力して音量ミキサーの機能でミックスして再生することもできるがそんなに面倒なことをするくらないならそれぞれに再生システムをつないでいたほうがよっぽど使いやすい。
■EX-A10から改善された音質のEX-A150
EX-A10は音のきれいさを感じられたものの、脂っこさとかダイナミックなアグレッシブさが感じられず音の白っぽさというか淡泊というか植物質的な感じだった。音色もそうだがダイナミックレンジのコントラストを抑えたような感じでその辺が白っぽいとか植物質的という感想になっていた。EX-A150はスピーカーユニットの内部を工夫したせいか白いレースのカーテン越しに景色を見るような間接的なイメージがなくなった。
ウッド製のツイーターに期待が大きいものの、単体発売されたスピーカーを含め音を聴く限り個人的にウッド製ツイーターは無理なのではないかという判断に傾いていたがこれなら大丈夫だと思う。
■限定品のEX-AR3LTDと新製品EX-AR7
売れると供給に問題が出るEX-AR7
異方性振動板を採用したEX-AR3LTDからK2テクノロジーのパラメーターを変えていたそうだ。EX-AR3も変えていたのか聞くのを忘れた。ただ十字に貼った異方性振動板により大幅に音が変わったためにK2のパラメーターを調整したとのことだったのでEX-AR3は従来通りの可能性も高いと思う。
EX-AR7のエレクトロニクス部分はEX-AR3LTDのままだそうだ。というかそのまんまと言っていた。
でも底板に貼ってあるビクターが名付けた“アークベース”は、LTDは“コ”の字型、AR7はほとんど底板全体をカバーする四角形と違っている。初期型と最後期ではアークベースが変わってAR7タイプが付いているのかもしれない。
改良はスピーカー部分になる。
限定品のEX-AR3LTDと新製品のEX-AR7とどちらが音がいいのかと質問したところ改良されたEX-AR7のほうが良いとのことだった。
新製品なので悪く言うことはないだろうが、AR3LTDから時間が経ちより改良したことや、見た目がカッコいい丸型サランネットをやめ四角いスピーカー保護ネットに変えたことにより、より良くなっているとのことだった。
EX-AR7は限定品のAR3LTDより手間暇かかり、かつ通常商品なので商品供給が綱渡りだ。
木を薄いシートで切り出して成形するボイスコイルボビンの製造がきわめて難しいまま一般売り商品にしてしまったのでヒットしたら商品の供給が足りなくなるとのことだ。
ビクターにも80ミクロンで木を切り出せる職人はいないため特別な名工に作ってもらっている。それでも失敗のほうが多いそうだ。
かつてサンスイが評論家の入江 順一郎さんが亡くなってお手製のコンデンサーが手に入らなくなり、発売からそれほど経っていないのに不自然にモデルチェンジしたことがあったが、これも極端に名人芸に頼った商品で大丈夫か心配になる。
失礼ながら名匠の御姿を見るに結構なお歳だ。
EX-A150と比べると低音は少なくなりコンパクトになる。
それに合わせて音楽のスケールもややコンパクトになる。
ただ、比べると躍動感や鮮度はAR7のほうがかなりある。
バイアンプ駆動とはいえ2wayとフルレンジではチューニングが結構違う。
A150は異方性振動板を採用していないように見えるが裏側に短冊シートが張ってある。
初採用機のフルレンジは表に見えるようにシートが張ってあったが改良点をアピールするために必要がないのに露骨に見えるようにしたようにも見えた。
A150のウーファーのシートが裏側になったのは、子供が剥がそうとして壊して苦情が来たり、けれんを控えたのかと思った。
しかしAR7で表側にシートが見えているままでA150で裏に貼ってある理由は違っていた。
フルレンジタイプは日本国内向けだけで、A150から海外でも販売する計画となったための変更とのことだ。
海外から、シートが十字に貼ってあるためキリストを表わすと受け取られると反対があったようだ。
日本人には十字のマークや漢数字の「十」を見てもそのままにしか見えないが海外では『神をあらわしている』と受け取ることが多く、神を使って金儲けをしていると受け取られると苦情が来たそうだ。
キリスト教圏ではまだ好意的に受け取るかもしれないが、ほかの宗教を信じている者にとっては『別の神をたたえる商品を売り付けるなんて』と思われるかもしれず確かに配慮が必要なものなのだろう。
音に関しては外から見えるように張ってあるほうが効果が高く、音は見えるように張ってあるほうがいいそうだ。
確かに試聴して指向性の広さからそれは感じられた。
見た目が似ているEX-AR3LTDのスピーカーとは一対比較はできなかったが、おそらく傾向としてはAR7のスピーカーのほうが明るく開放感がある雰囲気と思う。
周波数特性的に高域が伸びたとか、より持ち上がったということではなく、中音域を中心とした広い範囲で音色が軽く明るい解放感があるように思う。
■問題点はそのまま
以前、このブログにも書いたが音割れするディスクを試聴してみた。まず結論から書くと、音割れ箇所は同じでそのままだった。限られた時間内では細かい差異を特定するところまでいかなかったが割れるのは同じディスク・同じ曲の同じところだ。
エンヤ、マドンナ、松任谷由美の旧姓時代・荒井由美の作品や、時間の関係で持ち込まなかった器楽のピアノやクラシックのディスクも同じように音割れするだろう。
「エンヤベスト」のトラック7.チャイナ・ローゼズ、9.エビュデー、マドンナの「レイ・オブ・ライト」のトラック1.ドラウンド・ワールド/サブスティテュート・フォー・ラヴの最初から鳴る効果音や、荒井由美の「ひこうき雲」のトラック1.ひこうき雲、トラック4.空と海の輝きに向けて、でユーミンが声を張り上げるところなどほかのミニコンポと同じく音割れする。
EX-AR3LTDと本体部分は全く同じとのことなので変わっていない。
AKGのヘッドホンで我慢できないほとの音割れするのもそのままということになる。
エンヤ、マドンナ、荒井由美やピアノ、バイオリンやクラシックを聴く人でAKGを使う人は相変わらず使い物にならない。とくにクラシックを聴く人には全く使い物にならない。音もひどいが頭が痛くなってきて寝込んでしまう。
ミニコンポとしては高価だがヘッドホンアンプを追加するのは割高になりあまり気が進まない。
ヘッドホンアンプは数が出るものではないためか、安いものは音的には繋がないほうが良かったと思うものがほとんどで、なかなかと言える以上のものは高価だ。ヘッドホンアンプはコストパフォーマンスを考えるなら追加しないで済む構成のほうがいい。
それにこの機種はシンプルで気負いなく、かつ高品質というコンセプトのものだろう。
ゴチャゴチャ組み合わせ、とことんやるなら別の商品価格帯のオーディオ機器でやることだろう。
■確認できなかったことや要望など
音割れするディスクはビクター側に以前伝えてあるのに改善されていないどころか、全くそのまま手をつけていないのは良くない。また、AKGの能率の低いヘッドホンで使用が不可能と断定できるほどひどい音割れノイズが放置されている。オーディオテクニカなどほかのヘッドホンではボリュームを16以上にすると耳が痛くなるほどの音量になるがAKGのヘッドホンだとポピュラー音楽をかけたままでもテレビの音声を完全に聞き取れるくらいの音量にしかならない。クラシックは録音レベルが低いものがありフルボリュームでもAKGだと物足りないディスクもある。
とにかく音割れノイズは「使い物にならない」かどうかの重要な根本的な問題なので対処してもらいたい。
苦渋の選択でテレビの再生用に用途を変えた理由がそれなのでどうにかするべきだ。
『お客様は日本国内においてきわめて珍しいほど特殊に耳がいいためと判断いたしました。確認できませんでした』と、また体よくうっちゃらないできちんと対処してもらいたい。
音量の大小に関係なく音割れする問題に比べれば小さいものの、マドンナなど完全に現代的なヒット音楽はAR7などのフルレンジだと音量を上げると低音が濁る。ボリューム目盛の最大は50で、25,26くらいですでに危うい。
低音が多い録音ではミニコンポだと起きやすい問題で、音量が大きめのときのことなので問題になるのは比較的限られると思うが、先に挙げた荒井由美時代のユーミンやほかのディスクの音割れは音量の大小に関係なく発生するためミニコンポであっても解決すべき問題だ。たとえば、
荒井由美 音割れ
で検索するとたくさんレコード会社やリマスターした人に対して苦情・非難が出てくるが、単品コンポなら四万円以下のCDプレーヤーやアンプでも音割れしない。常に全部を確認しているわけではないので保障できないが一番安い価格帯の単品コンポでも音割れに関してはミニコンポとは雲泥の差がある。
ただし、ビクターの今回の一連の新製品のコンポや、ケンウッドのKシリーズやそれに属するCDレシーバー、R-K1 199,500円などのミニコンポは一番売れている価格帯のものより高価なものだ。
この辺のものがディスクの音が割れて再生されるようでは情けない。
特にビクターの今回の製品は単体販売されるシステムもラインナップしており『音割れしてもミニコンポだから仕方のないこと。当然』という甘い考えは受け入れがたい。
ミニコンポも含め改善されることをユーザーとして強く望む。
今回、A150シリーズ以外でスピーカーも単体で販売されるものがありEX-AR5のスピーカー単体モデル「SX-WD50」、および先行モデルEX-AR3のスピーカー単体モデル「SX-WD30」が用意されているがAR7のスピーカー部が販売されないのは残念だ。
エレクトロニクス部の特にヘッドホン出力が悪いのがそのままなのでシステムとして余り欲しくない。
マルチチャンネルを構築するとき同一SPにすることができない。これを解決するためにはAR7のSPも販売するしかない。
重要なことでビクターのフルレンジウッドコーンシリーズの不具合なのか仕様なのか悩んでいることを聞き忘れたのが悔やまれる。
価格コムでレビューを見ればわかるが『低音が出すぎて気持ち悪くなるくらいだ。トーンコントロールで低音最小にしている』という書き込みが多くある。
自分は最初、このレビューが全く理解できなかった。
購入直後はK2モードを切り替えても音の違いがほとんどわからず、トーンコントロールで低音や高音も変えてもずいぶん変化が少なく必要な調整量に足りないと思った。
低音は物足りないものだった。
経験的にエージング前はこんなものと放っておいたが半年経ってもK2やトーンコントロールの変化量は少なく使える機能ではないと思うようになっていた。ビクターのデモではK2はハッキリと効果があったが普通に生活する場である家庭では効果が良く分からない機能かと思っていた。
ところが8ヶ月くらいしたある日、突然音が変わった。
激変というより、初めは壊れたと思い、次に親せきの子供の誰かがトーンコントロールの低音を最大に上げたのかも?と思って確認するくらいの変化量だった。
その日以来、低音がやたら強調されるようになったが、K2の違いやトーンコントロールの変化もハッキリと分かるようになった。
エージングが済んだというにしてはそれまでの変化量からすると、ある日を境に音が変わりすぎている。全然違うほど一日で変わったりしない。
マドンナなどを聞いていると2,3曲でヘッドホンで聞いているときのように耳に圧迫感を感じるほど低音が多い。
低音の強調はサブウーファーの設定をオフにしているときに行われる仕様となっているので「サブウーファー on」に切り替えて使うようにしたが、それだとさすがに低音不足がひどくトーンコントロールで低音をプラス2にして使っている。
あの日以来の音でいうならレビューで見るように低音オバケで強調しすぎてバランスが悪い。でも故障なら故障しているのが原因だ。
しかしあの日以前が正常ならK2の違いが聴き取れないことやトーンコントロールの効きが悪すぎる。
違いが分かるようになっている現在のほうが正しいような気がするが、故障しているのかいないのかわからない。
現在の音が設計者の想定した音なら、低音を強調しすぎて良くない。もう少しチューニングを改善してほしい。
本体での操作やリモコンの操作のしにくさもそのままなのは改善してほしい。
確認しなかったが以前の機種では10キーでCDのプログラム再生ができなかった。プログラムキーはあるがCDでは機能しない。
DVDだとできる仕様だったが、それはおかしなことなのでCDでもDVDでもプログラム再生できるようにしてもらいたい。なぜ出来なくしてあるのかよくわからない不思議な仕様だ。そのままなら改善してほしい。
【更新】
[再生/チューナーモード]ボタンを押して表示部に『PROGRAM』が出ている間に数字キーを押せばプログラム再生できることがわかった。
ただ隠し蓋のなかの[プログラム]ボタンはDVDでしか使えないようだ。
説明書にもそう書いてあり、CDのプログラム再生をするにはどうするのかとか、やり方のページが脚注で書いてないのであの書き方ではわからない。【終り】
ビクター製品はこういう妙なこだわりがあるものが多い。リモコンで11、12のボタンがあるのに『それはテレビを操作する時のためなので、ビデオのチャンネルを11、12chにするときは10+ボタンと数字一ケタのボタンを連続押ししてください』とかビデオのリモコンなのにおかしなことをする。ラジオはダイレクトに選局できるがCDでは11以降のボタンが無効とか、よくある。