2009年7月13日月曜日

筋萎縮性側索硬化症・ALSや若年性痴呆が既存薬と市販薬の組み合わせで治療可能なことが発見される

有望視される新しいアルツハイマー病の治療法 2009年7月23日

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「認知症」「ALS」などの原因抑える物質を発見

 筋肉が動かなくなる難病である筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)や、若年性認知症の治療につながる物質を、東京都精神医学総合研究所の野中隆主席研究員らの研究グループが見つけた。11日からウィーンで開かれる国際アルツハイマー病学会で発表する。

 これまでの研究で、ALSや若年性認知症を発症した患者の脳や脊髄(せきずい)には、TDP43と呼ばれるたんぱく質が異常を起こして蓄積していることがわかっており、これが細胞の死滅や病気発症の原因になると見られている。

 研究チームは、人の神経細胞に異常なTDP43を作り出す遺伝子を組み込み、患者の細胞を再現。この細胞を使って、様々な薬の効果を確かめたところ、ロシアでアレルギーなどの治療に使われていた医薬品と、国内でも市販されている薬剤とを併用することで、細胞内に蓄積した異常たんぱく質を80%以上減らせることを突き止めた。

 ALSは往年のメジャーリーガー、ルー・ゲーリッグ選手が発症したことで知られる難病で、治療法はまだ開発されていない。40~65歳で発症する若年性認知症も治療法がない。

 野中主席研究員は「すでにある薬を使って、ALSなどの進行を大幅に抑えることができる可能性がある。早急に治療薬開発につなげたい」と話している。
(2009年7月12日 読売新聞)