2009年7月11日土曜日

ホリエモンと東国原知事の類似点とは-『全能の神』感、精神科医

ホリエモンと東国原知事の類似点とは

http://news.livedoor.com/article/detail/4245514/

2009年07月11日07時51分 / 提供:PJ

東国原氏のイメージ
【PJニュース 2009年7月11日】いまから約4年前の8月、ライブドアの堀江貴文元社長が、自由民主党本部で同年9月に行われた衆議院選挙の出馬表明をした。郵政民営化に反対して自民党を離党し、国民新党を結成した亀井静香元政調会長の地盤である広島6区から無所属での出馬だった。当時の自民党幹事長であった武部勤氏は、堀江氏を「弟だ、息子だ」だと肩入れし「刺客」として選挙に送り込んだ。

当時の政党支持率は自民党が20%前半、民主党が10%台であった一方、無党派層が60%を超えるような状況だった。その当時、小泉純一郎首相は郵政民営化を一大争点とした対立構造を作り出し、無党派層を取り込んで、結果的に2005年9月11日の総選挙で自民党が296議席を獲得する歴史的な圧勝を収めた。

そのころの堀江氏といえば、連日のごとくテレビに出演しては、マスコミ関係者からちやほやされた。やがて、議員経験も無しに総理大臣の座を射止めると、妄想に近い感情を抱くようになった。飛ぶ鳥を落とす勢いで事業を拡大させ、ヒト・モノ・カネが彼の周りに集まって来た。「星に穴を開けてホテルを造り、宇宙旅行ビジネスに参入する」などと周囲に漏らし始めたのもこのころだった。

知人の精神科医によると、大きな失敗もなく、順風満帆でビジネスや政治で成功し続けた人は全能感を抱きがちだという。成功の数字を実感しつつ、周囲にちやほやされるため、自信がいつのまにか過信に変わり、いつのまにやら不死身の全能の神と思いこんでしまうらしい。その発症のきっかけが、テレビのスポットライトだ。スポットライトが当たっている姿をテレビで見て、自身に後光が指しているのだと勘違いしてしまう。

わたしが接してきた人々の中では、堀江氏を含め、ITや不動産、金融などの分野で急成長したたたき上げの社長らにこの傾向が強い。こんな輩と同じ穴のムジナとも言えるのが、宮崎県の東国原英夫知事ではないか。テレビに映る東国原氏の表情が、かつてのホリエモンのそれと重なり合う。

県知事に当選してからというもの東奔西走し、宮崎県のPRに限って言えばそれなりの実績を作った。芸能人出身とあってメディアの使いこなしになれている。このためか、全国の知事の中ではもっとも注目度の高い人物である。その東国原知事が次期衆院選に自民党公認で出馬する条件として、自らを党総裁候補とすることを表明している。古賀誠選挙対策委員長自らが訪ね来て、選挙対策を懇願したものだから、舞い上がってしまったようだ。

自民党内や野党、そして世間から少なからず東国原氏への批判があるのは読者の皆さんご承知の通りだ。理由は簡単。宮崎のPR以外に、県政をうまく運営しているという実績があやふやである現在、自民党の長、強いては国の代表としてその役割を努めきれるかというと大きな疑問符が付くからだ。テレビのインタビューでは「地方分権」を呪文(じゅもん)のように唱(とな)えるだけで、外交問題に振られると、「地方でできることは地方で、外交などは国で」などと、焦点がずれた応答しかできず、国政をまとめる力不足は否めない。

2009年6月現在の時事通信による政党支持率を見てみると、自民党が18.4%、民主党が15.5%、そして無党派層(支持無し)が58.1%となっている。2005年と比べ自民党と民主党の支持率が拮抗(きっこう)してきたものの、依然として無党派層が多い。

これらの数字を見れば、東国原氏にでも自民党の意図はおのずと知れてくる。テレビを通じた無党派層への客寄せパンダが、東国原氏のせいぜいの役割だろう。さしたる県政での実績がない東国原氏は、宮崎県知事の肩書きを剥いでしまえば、「そのまんま東」という一芸能人でしかない。そこをはき違えて、「わたしを自民党総裁に」とは、やはり、ホリエモンと同じような全能感が、東国原氏の体によぎっているのではないか。東国原氏よ、あなたは全能の神ではない。【了】