2012年6月4日月曜日

ほらね。『宇宙戦争』

ね。
見てくれましたか?

ひどいでしょ。


でもパパがトム(レイ・フェリエ/トム・クルーズ)でほんとに良かった。子供たちにとっては。
見てる人には良くなかったけど。とっとと『殺っとけ』と。見ている人の心は一つ。
私があの子たちの親だったら全滅を避けるためとっとと決断してますね。ダメ親父だけど子供思いのいい人で、あの子たちにとってはそれが良かった。本当、感謝しろよお前ら、と。

実況見ていると、見たことがない人の反応が予想通りだった。つまり、

駄目親父:子供たち、特に女の子がしっかりしている。子供たちは良い。トム駄目すぎだろ、ムカつく
(←親父が一番マシだぞ。子供たちが一番駄目だぞ、の意見に対して)

レイチェル(ダコタ・ファニング):うぜえ。障害あんのかあのガキ。対して息子しっかりしている、いい
(←いや、だからダメだって、子供に肩入れすんな、期待してると裏切られるぞ、の意見に対して)

ロビー(ジャスティン・チャットウィン):うーぜーえーー!!!完璧キチガイ。とっとと殺せよ親父!
(←だーかーらー。言ったじゃん。トムは駄目親父だけど駄目親父ってだけで、ガキども、特に息子はマジキチ完全厨二病なんだって)

マジキチ息子も死んでやっとちゃんと見れるな
(←これからもっと裏切られるぞ。言っとくけど死んで良かったとか、これからまともに見られるとか言ってると最後憤死するぞ、の意見に対して)

『やっとちゃんと……』……………
(←察する。書き込みもなくなってくる……)

ええええええええ!!!!!!!!!!!!死ねよ。この野郎!いいから死ね、マジ死ね。すぐ死ね。今すぐ死ね。納得いかねえー!!!
なんだよコレー、クソじゃねえか
(←言ったじゃん。名作じゃなくてクソだって)

予想通りの反応をたどった。


この作品好きなんだけど
久々に見たらやっぱり腹立った。Z級映画を見る楽しみとして見ているのに、それでも本気ではらわたが煮えくり返る。再度見てもダメだと理解した。


この映画はね、パロディー映画シリーズの『最終絶叫計画・4 ( SCARY MOVIE4 ) 』のほうが全然できがいい。
最終絶叫計画シリーズは有名作品を茶化してパロディーにする映画のシリーズで、作品だけでなく出演者自体の問題点や原作の出演者の奇行・問題もネタにするコメディー映画だ。
『最終絶叫計画4』も素晴らしく良かったのに残念ながら日本では劇場公開されなかった。本当に残念。
たまにTVで放映もされる。

『最終絶叫計画4』は『ソウ』『宇宙戦争』をメインに『 THE JUON /呪怨』もかなりメインの設定として使っていて、他にも『ヴィレッジ』『ミリオンダラー・ベイビー』やそのほか多数の映画、『裸の銃を持つ男』の設定を借りたバカ大統領など色々趣向が凝らされている。
最終絶叫計画自体はコメディー映画といっても≪全部の設定(コメディー/パロディー)が滑らずオモシロい≫のではなく、むしろすべって見ているこちらはおいてけぼりなことが相当多い。制作者側のから滑りぶりも楽しんでね、という感じだと思っているが、『宇宙戦争』の設定だけは≪勝手に滑って、見ているこちらとノリが大違い≫ではない。
じゃあ、原作の設定の無理な部分を直して本格派にしたかというとそうではなくて、無茶苦茶な設定をパロディー特有のトンデモ設定にしたら逆に本物の『宇宙戦争』よりちゃんと楽しめるようになった、という感じだ。

この違いで一番影響を及ぼしたのはなんだろうと考えてみると息子の扱いだと思う。

本物の『宇宙戦争』のほうは

・憤りを覚えた正義感あふれる若者で、若い子にありがちな気持ちが先走り、高ぶりすぎて異常な状況に正常さを失いがち。若気の至り。
少なくともトム親父はそう思っている。親の欲目。

対して『最終絶叫計画4』の中の『宇宙戦争』は

・息子ロビー(ボー・マーショフ)は父親トム(トム・ライアン/役者はクレイグ・ビアーコ)から、頭おかしい、狂っていると思われており、それに合わせた行動をトム親父は取る。家族と自分を守るためちゃんとまともな判断と行動をする。

ここが見ている観客側のカタルシスというか納得いく展開になる分岐点だと思う。
ここが解消されるだけで元の『宇宙戦争』は全く違った評価になる。ギャグなので設定はめちゃくちゃだが、原作も、リメイク作のトム・クルーズ版『宇宙戦争』もトンデモ設定なのは変わりないので『最終絶叫計画4』版の『宇宙戦争』のほうがむしろしっくりくる。

そんなこんなで
ぜひ、『最終絶叫計画4』が放送されることがあったら見てね。こっちはおもしろいから。