2010年3月20日土曜日

実は公立より深刻、私立どこもかしこも“学級崩壊”

愛子さま報道で心配になる 私立どこもかしこも“学級崩壊” (ゲンダイネット)

http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_elementary__20100320_7/story/20gendainet05021311/

 愛子さまの不登校報道で、学習院まで“学級崩壊”かと心配になる。首都圏では毎年2万人以上の子どもが私立の小学校に進学しているが、〈私立だから安心〉は全くの幻想だ。あちこちで崩れ始めているという。

「実は、いじめの相談は公立より、私立の進学校に通う子どものほうが圧倒的に多い。しかも、お受験して賢かったりするぶん、悪知恵がはたらき、悪質かつ陰湿なケースが目立ちます」

 こう話すのは、子どもの不登校や引きこもり問題に取り組む、NPO法人「教育研究所」の牟田武生所長だ。

 文科省が発表する小学校の暴力行為の発生状況。内容別のうち〈生徒間暴力〉の発生学校数の割合は、公立が4.8%に対し、私立はその2倍近くの8.7%だ。〈器物損壊〉は公立2.8%に対し、私立は2.5倍の6.8%。

 ところが、牟田氏は「特に私立は、この程度で済むとは到底思えない。信憑(しんぴょう)性が低い」とバッサリ。こう続ける。

「イメージ重視の学校側は、たとえば、不登校になると〈病院の診断書持参〉を指示します。自律神経失調症などと書かれた文面から〈病欠扱い〉にする。いじめの実態は表面化しにくいのです」

 週刊文春では、愛子さまの“ご学友”の中に「ファック! シット!」といった放送禁止用語を叫ぶ子がいたと報じたが、〈暴言を吐く〉〈無視やシカトに徹する〉〈盗難や集団万引〉など、もはや何でもアリ。私立は電車やバスで通学する子どもが多く、行動範囲が広い。選ばれし友達の“質”は、ない。

「教師の“質”にも問題があります。多くの私立は生徒指導に関する校内研修の場が公立より少なく、教員の問題発生時の対処能力の乏しいことがよくあります。特にベテラン教員は管理的指導に走りがち。多動性の子どもの注意に気を取られ、他の子どもたちが管理不行き届きとなり、学級崩壊に陥る。決して珍しいケースではありません」(牟田氏)

 小1から高3まで12年間、私立に通わせると学習費だけで1500万円。公立より3倍以上高くつく。

「共働きで忙しく、バザーや運動会といったイベントの準備を“放棄”する家庭の子どもは、親のしわ寄せでいじめられることもあります」(教育ジャーナリスト)

 学費のために働いた揚げ句にいじめ……何とも皮肉な話だ。

●中から下は学費目当ての“お客サマ”

「通うに値する私立中学は存在するのか?」と題し、ホントに費用対効果のある私立中高一貫校を検証したデータがある。東大、京大、慶大、早大、一橋大など難関大学への現役合格者(進学者)数が、卒業生に占める割合を算出したもの。多くの学校が進学率10~30%にとどまっている。

 データを公表する高校受験専門塾の大泉英数研究室、小西徹治氏はこう言う。

「特に“ゆとり教育”以降、公立と私立の学力差を心配する親御さんは増えましたが、やみくもにわが子を進度の速い私立に通わせることがいいとは限りません。消化不良で身につかなくなり、落ちこぼれになるキケンもあるのです。私立中学の場合、学力が中から下の学生は学費目的の“お客サマ”。進学はできるものの、早いうちから見限られてしまいます」

 小学校も例外ではない。一貫入学組は進学はできるが、高校入学組にバカにされるのがオチ。そりゃ、子どもも歪む。

●ちなみに

 小西氏の学習塾が挙げる“通うに値する私立中”の上位5校は以下の通り(数字は現役進学率)。

68.2% 早稲田中高等学校
61.2% 筑波大付属駒場中高等学校
50.0% 聖光学院中高等学校
46.2% 桜蔭中高等学校
42.5% 女子学院中高等学校
(日刊ゲンダイ2010年3月17日掲載)

[ 2010年3月20日10時00分 ]