2008年11月24日月曜日

NEC新製品ディスプレイLCD2690WUXi2

MultiSync LCD2690WUXi2/LCD2690WUXi2-BK:ディスプレイ | NECディスプレイソリューションズ

http://www.nec-display.com/jp/display/professional/lcd2690wuxi2/

これは奇麗だった
ひとつ前の「LCD2690WUXi/LCD2690WUXi(BK)」はこのくらいのサイズの製品の中で圧倒的にポテンシャルが高かった
『キャリブレーション必須』と言われていた

最近、モデルチェンジして「LCD2690WUXi2/LCD2690WUXi2-BK」になったが
これはあまりにきれいでびっくりした
びっくりした以上にウットリして見とれてしまった



以前のモデルは工場出荷状態では日本のモデルにしては緑がかっていて、日本向けにしては珍しく工場出荷状態のデフォルトの色温度が低かった
だからか『キャリブレーション必須』と言われ実力を発揮するにはキャリブレーションをしてからという感じだったが、今回のはすごい奇麗だ

テレビのように「映像美」が表現でき、かつプロ向けなので正確な色・正確な表示で、
テレビが記憶色表現、技術をデフォルメ方向に使うのに対し、そのあたりがアドバンテージだ

ただ、テレビの利点はチューナーが内蔵、特にヨーロッパに比べ蛍光灯で相当明るくしている日本の部屋に合わせかなり輝度を高く、白飛び・黒つぶれさせコントラストの高さからくるダイナミックさで、一般的に好まれる再現を目指している
しかも欧米では好まれない色温度の高い青系の昼光色蛍光灯を使っている日本向けに合わせチューニングしている

これらの違いや好みから「正確で正しい表示」のこのディスプレイが、日本人の誰でも広く満足する傾向といかないだろう

旧モデルとは色の抜け、純度が全然違っていて、たとえば空の色も旧モデルでは白飛び気味で、写真が撮られた時の空の色が青だったのか白く光り気味だったのか、あるいはデジカメのダイナミックレンジを超えて空の色が白く抜け気味になったのかわからなかったがバッチリわかる

画面全体の色乗りが鮮明で、静止画を表示していてもブレたり不安定感がない
良くないパネルだと動画のように何かブレたように安定感がなく動画を見ているような感じがあるが素晴らしかった

色乗りがスパッとしてきれいだが、ギトギトベタベタ汚らしく高彩色ということは一切ない
彩度は変える必要がないのであまり変わってない
表面のポリカーボネイトが1枚減らされたような、以前のポリカーボネイトが曇りガラス気味だったのが透明になったような感じ、とでもいうのかそいういう感じだ
並べて同時に見ないとこういうのは言葉で表現しても伝わらないと思うが

カタログ上のスペックが大事なテレビと違ってIPS液晶を搭載していることも目が疲れない原因だ
やはりブラウン管と比べIPS液晶でもプラズマでも斜めから見た時の明るさの変化はある
IPSは視野角が広く、応答速度も白⇔黒、カタログで使われる無彩色の白黒ではなく中間色でも変わらず安定しているが、
それでも画面さえ見えていれば明るさや色が変化しないブラウン管と比べるのは無理がある

しかしIPSよりはるかに視野角や応答速度の安定などの物理特性が劣るVAやTNはコストの安さから席巻している
テレビに使われるVAやTN、今やほとんどのPC用ディスプレイに使われるTNは、コントラストが高くカタログ上の性能表示のカッコよさとほとんどの人がコントラストが高いこと好むことでも多用されている
『ダイナミックコントラストコントロール』と称してバックライト制御でカタログスペックを稼ぎ『何万:1』とコントラストを誇っている機種の人気の高さからもわかる
勘違いしないでもらいたいのは、バックライト制御してもパネル本来のネイティブに表現可能なコントラストは、バックライト制御していないときのコントラスト比だということだ
だからスターウォーズのほぼ真白な部屋で宇宙人とジュダイが会話するシーンなどはノペーっとモワーっとしたコントラストの低い表現になる
いつもバックライト制御でコントラストを10万:1にもってけるわけでないのだ

真正面から見ないと中間輝度が持ち上がる。IPSより安くTNより高いVA、
色と輝度が反転し画面の明るさが真正面以外すぐ暗くなり、安定しない。安いTNなど各方式欠点がある

ノートパソコンではほとんどがTNで、IPS液晶を使っているとレビューサイトに情報が載るくらい珍しい
しかも、搭載したノートパソコンはラインナップ上は存在しているものの、店頭販売でも、通販でも探すのが極めて困難なほどで、市場で存在感がない

店頭ではこれらの物理特性は気にならないが自宅で使い始めるとかなり気になるようになる
自分の場合は一番気になる項目だ
自宅で使っているときは常に正しい姿勢で気を抜かずパソコンやテレビを見ているわけではない
どちらかというとリラックスしていて、何かしながら、姿勢もしょっちゅう変わる
そのときにクルクル画面の明るさ、色が変って落ち着かない
有機ELやSED/FEDが現実的なサイズと価格で出るまではIPS液晶には頑張ってもらいたい

本当は目の疲れからブラウン管も現役であってほしいがもはや無理な話だ


新型のLCD2690WUXi2は工場出荷状態でもチューニングが圧倒的に良くなりきれいだが、これくらいのものを使う人や、使う必要がある場合、キャリブレーションツールは必須だろう
キャリブレーションしても『その機器の実力を引き出す』だけであり、別の機器に変えるわけでも別の性能に取り換えるわけではない
『その機器の実力を引き出す・発揮させる』のでその機種の物理特性の範囲内でのことだ


輝度が400cd/m2から320cd/m2になったこともよかった
ノートでも単体ディスプレイでも目を細めて見ている人が多いが、目が疲れる原因だ
目を細めなければならないほどだと完全に明るすぎる
sRGBに準拠するなら輝度も指定があり、本来なら80cd/m2にする必要がある
今みたいに500だ、600だでは眩しい
眩しくても暗くできればいいが、液晶というのは暗くするのは苦手だ
暗くしていくに従い、色再現が悪くなり偏りや色が抜けぎみになる
またコントラストを稼ぐダイナミックコントラスト制御も、明るければ有効だがバックライトがもともと一番暗い状態では機能しない
それ以上暗くしようがないからだ。消してしまっては見えない
機能としては有効になっているが実動作としては有効になっていないという状態になってしまう
もともとのそのパネルのコントラスト比になってしまう

それ以前に、高額・高性能機でないかぎり明るさを適切な状態まで絞れない、明るさの制御の段階が大雑把で元がうまくいかない

この機種はこれだけこだわっているものの、残念ながら日立のIPSではない
韓国製と思われる
改良はされているが、日立のIPSであったならもっとすごい表現だろうにという思いはぬぐえない
コストの関係で日立のIPSを搭載したディスプレイの新製品などどれくらい前に出たか分からない状態なのが残念だ

サイズとしては30型や、
http://www.nec-display.com/jp/display/professional/lcd3090wqxi/
デジタルサイネージモデルラインナップ
http://www.nec-display.com/jp/display/digitalsignage/
など大型モデルがあるが、これくらい大きくなってくると、通常PCのディスプレイが置かれる位置だと四隅が見えない
眼を動かすか顔を動かさないとよすみをはっきりと見れないので私はあまり大きすぎるのは好まない
自分が置くディスプレイの距離だと26か27が限度で、28型以上だと視線を動かす必要があるのでディスプレイを離さないと使う気はない
1インチの差は結構シビアで、人によって見える視野角は差があるので店頭で確認したほうがいい

通常、年齢を重ねるごとに視野が狭くなり、見えている色も黄色、茶色、褐色、退色していく(青は見にくくなっていく)

たぶんシューティングゲームなどをする人は一般的な置き位置に設置するなら30型では4隅にいる敵を気付きにくくなるだろう