高熱加工されたトマトは分子構造の変化を来し、抗酸化作用が高まる
(2008.9.29掲載)http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&task=view&id=1479&Itemid=88
病気に対する抵抗力を高める赤トマトの新しい加工法が、米オハイオ州立大学の研究者らによって開発された。赤トマトには、抗酸化作用を持つリコピンが豊富に含まれており、その自然発生した色素が、癌(がん)や他の慢性疾患の予防を助けることが知られている。
オハイオ州立大学食品科学技術学部教授で、総合癌センターの研究者でもあるSteven Schwartz氏によれば、赤トマトに含まれるリコピン分子の標準的な構造は直線的であるため、腸壁を介した血中への(分子的)吸収を難しくしているという。
ヒトの血液中を循環するリコピン分子の多くは、曲線的な構造をしている。このことは、体内で何らかの方法を経て、直線的な分子から曲線的な分子に形を変えたか、あるいは曲線的な分子が直線的な分子よりも、より血中へ吸収されやすいかどちらかを意味している。
後者の説が正しいと仮定して、Schwartz氏らは、直線的なリコピン分子を曲線的な分子に再構築する方法を開発した。これは、トマトと脂肪を合わせて、トマトソースに加工する間、高熱にさらすというもの。同大学の研究チームが行った臨床試験では、高熱製法の赤トマトソースを摂取した人たちの方が、標準的な赤トマトソースを摂取した人たちと比べて、血中のリコピン濃度が55%も高いことが明らかになった。研究結果は、フィラデルフィアで開かれた米国化学会(ACS)で発表された。
食品加工は野菜の栄養価を激減させ、変色を起こし、味にも影響を及ぼす傾向があるとして、しばしば批判されている。しかし、Scheartz氏は「それどころか、今回のケースでは、食品加工はリコピンの吸収率を高めるという点で、プラスに働いている」と述べている。(HealthDay News 8月21日)
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