注射薬「ボトックス」で死亡例、米FDAが調査へ
http://www.asahi.com/health/news/TKY200802120264.html
2008年02月12日
筋肉のけいれんや緊張を和らげる注射薬「ボトックス」などを使った患者が死亡したり、呼吸不全になったりするケースがあったとして、米食品医薬品局(FDA)は12日までに、副作用と薬との因果関係について調査することを決めた。この薬は、日本国内で「しわを取る」などの適応外の美容整形の分野でも広く使われている。
FDAが調査するのは「ボトックス」と「マイオブロック」で、ボツリヌス菌がつくる毒素を利用する。日本ではボトックスが眼瞼(がんけん)けいれんや片側顔面けいれんなど三つの病気の治療で承認を得て、グラクソ・スミスクライン(本社・東京都)が販売している。
一方、適応ではないものの、「筋肉の働きを弱めることで眉間(みけん)や額、目尻のしわを取るのに効果がある」として美容外科などで利用されることも多い。
FDAによると、死亡や重い障害が出ている大部分は小児で、脳性まひに伴う足のけいれんを治療する目的で使われた。この治療は米国でも適応外だという。また、今回の問題をFDAに訴えた消費者団体は「薬の使用に伴って成人を含む87人が入院し、16人が死亡した」としている。
グラクソ社によると、日本で適応を受けた病気への使用は講習を受けた医師に限られ、症例はすべて登録している。ただ、美容目的では医師が個人輸入で使用しており、「実態はよくわからない」という。
世界最新医療ニュース ― 【ヘルスハイライト】ボトックスは標的部位以外にも浸出する
http://www.yakuji.co.jp/entry6013.html
世界最新医療ニュース 2008年03月06日
【ヘルスハイライト】ボトックスは標的部位以外にも浸出する
ボトックス(ボツリヌス毒素)は標的部位以外にもしみ出すことがあり、これまで考えられていた以上に制御が難しいことがカナダの研究によって示された。
ボトックスは、しわ取りのほか、脳性麻痺(まひ)や脳卒中患者の筋肉の痙直を緩和するのにも利用されている。米CBCニュースによると、カルガリー大学運動学教授Walter Herzog氏は、ボトックスを使用して、筋力低下が関節の変性に及ぼす影響について調べる研究を実施した。その結果、ボトックスが標的とする筋肉から容易に周囲に移動し、周辺の筋肉をすべて弱らせることがわかったという。この知見は、医学誌「Journal of Biomechanics」オンライン版に1月8日掲載されたもの。
「ボトックスは注入した筋肉にとどまるものだと思っている人が多いが、今回の研究で、ボトックスを制御するのはそれほど容易ではないことがわかった」とHerzog氏は述べている。
Herzog氏によると、次のステップは、ボトックスが標的部位から周辺部位に移動するのにかかる時間を明らかにすることと、浸出を最小に抑えて特定の筋肉を安全に標的とするための理想的な用量を突き止めることだという。(HealthDay News 2月27日)