若者の半数、「TVなくていい」 -携帯が大切7割 2009年10月14日水曜日
どう読んでもテレビが弱体化している調査結果なのに揺るがず、若者の情報の中心とは…
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情報発信力 揺らがない 若者世代のテレビ視聴減少も…
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/091031/tnr0910310722004-n1.htm2009.10.31 07:17
このニュースのトピックス:TV・ラジオ番組
シンポジウムではテレビの将来像をめぐり、パネリストらが活発な意見を交わした=10月9日、東京都千代田区の千代田放送会館
物心ついたときからインターネットや携帯電話のある環境で育った20歳前後の若者世代は、テレビとどう向かい合っているのか。今月9日に東京都内で開かれたシンポジウムで、デジタルネイティブと呼ばれる多メディア時代の申し子ともいえる世代のテレビ視聴実態調査が報告され、必ずしもテレビ離れになったとは言い切れない実情が浮き彫りになった。(村上智博)
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◆携帯電話大切7割
このシンポジウムは、放送倫理・番組向上機構(BPO)の青少年委員会が主催。橋元良明・東京大学大学院教授(コミュニケーション論)らが昨年11月に実施した調査結果が報告された後、パネリストが近未来のテレビのあり方について議論を繰り広げた。調査は都内在住の16~24歳の男女約300人を対象に実施した。その結果、テレビ視聴時間は平日では1日に2時間近くで、ネットの動画投稿サイトを利用する時間が長いほど、テレビの視聴時間が短くなることが分かった。
また、テレビ番組に不満はないが、「テレビはなければなくてもいい」とする若者も多く、「テレビとゲーム機、携帯電話、パソコンのうちどれが大切か」の問いには、7割近くが携帯電話を挙げた。視聴番組については、4割がバラエティー番組と回答。さらに、回答者の半数以上が、携帯電話の電子メールやパソコンのサイトを閲覧しながらテレビを見ていることも報告された。
橋元教授は「テレビのニュース番組に出たことをネットですぐに検索するなど、テレビと連動したネット利用が活発に行われている」と分析。「情報の入手先としてのテレビの重要性は、少なくとも10年前よりは低下しているが、実は携帯電話やウェブ上のコンテンツは4割がテレビ番組のコピー。テレビのコンテンツクリエイターとしての使命は今後、ますます高まると思う」と、テレビの情報発信力の優位性が揺らぐことはないと結論付けた。
◆今以上の相互交流
その後のシンポジウムでは、パネリストの演出家、今野勉さんが「録画した番組を倍速で見るなど、効率よく見る若者が増えたことで、番組の制作現場で0・5秒のシーンに“勝負を決める”といったことが通用しなくなっている」と作り手の意識の変化を指摘。一方で「テレビ番組もインパクトがあればネット上で急速に話題になる時代になった」と語り、今まで以上に将来はテレビとネットの相互交流が起こるとの持論を展開した。
橋元教授は「テレビ番組を作品ではなく、『要所要所で分かればいい』と情報の寄せ集めとして見るようになっている。番組の断片化といった現象により、放送にとっての命綱は揺らいでいるが、それは『テレビ離れ』にはあたらず、多様な視聴方法への移行とみられる」と示唆している。
パネリストの放送作家、たむらようこさんは「テレビは子供が第一に触れるメディア。これまでも世代をつなぐ役割を果たしてきたが、そんな社会の“窓”としての役割は将来も変わらない」と言い切った。