2009年10月26日月曜日

約7割の花粉症患者で有効

報道発表資料 [2009年10月掲載]

約7割の花粉症患者で有効性が確認されました
花粉症患者が利用しやすい新たな治療法(舌下減感作(ぜっかげんかんさ)療法※1)の研究成果

http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2009/10/60jaq400.htm

平成21年10月26日
福祉保健局

 東京都では、「10年後の東京」計画において花粉症対策を一層推進することとしています。100名を越す患者さんの協力を得て進めてきた花粉症の舌下減感作療法の臨床研究の成果がまとまりましたのでお知らせします。
1 研究概要
(1) 研究の背景

 現在の花粉症治療は症状を抑える対症療法が中心となっています。根本的治療法である減感作療法は、皮下注射によるものが実用化されていますが、通院回数や痛みなど患者の負担が大きいため、利用しやすい治療法の実用化が待ち望まれています。そこで、「舌下減感作療法」の早期実用化を目指し、臨床研究を実施しました。
(2) 研究体制
実施機関
東京都臨床医学総合研究所、日本医科大学
臨床試験協力医療機関
別紙概要版に記載された日本医科大学を含む都内8医療機関
(3) 期間

 平成18年4月から平成21年4月まで
2 研究成果のポイント

 詳細は別紙参照
(1) 有効性及び安全性

 最終的に症状が消失又は軽減した症例は約7割であり、有効性が確認されました。
 重篤な副作用は一例も無く安全性が確認されました。
(2) 治療効果の予測※2

 舌下減感作療法の治療効果の予測に活用が期待される血液中の特定の成分や特定の遺伝子が判明しました。この研究成果については、東京都臨床医学総合研究所等が特許を出願しています。
3 今後の取組
(1) 学会で発表

 10月29日から開催される「第59回日本アレルギー学会秋季学術大会」で日本医科大学大久保准教授により発表されます。
(2) 開発や実用化促進の取組

 都の研究成果が活用されるよう関係機関への働きかけを行っていきます。
舌下減感作療法
花粉エキスをパンに含ませ舌下に2分保持


※1 舌下減感作療法
 アレルゲンと呼ばれる原因物質(花粉症の場合は花粉)を体内に少しずつ取り込ませて、根本的な体質改善を期待する方法。舌下減感作療法は、既に実用化されている皮下注射での減感作療法に比べ、苦痛が少なく、通院回数も減らせるなどのメリットがあり、利用しやすい治療方法としてその実用化が望まれている。

※2 治療効果の予測
 舌下減感作療法は約7割の患者で有効であったが、効果が得られない患者がいることも確認されている。個々の患者の血液中の特定の成分や特定の遺伝子を組合わせて検証することにより、患者ごとに舌下減感作療法の効き目を予測する。今後、予測手法が確立すれば、効果が期待できる患者のみに投与を行うといった治療に結びつく可能性がある。問い合わせ先
福祉保健局健康安全部環境保健課
 電話 03-5320-4493