2010年12月25日土曜日

「児童ポルノ」インターネット業界の遮断本格化、リスト管理団体設立準備へ

ネット児童ポルノ:業界も「遮断」へ本腰 リスト管理団体、15社が設立準備

http://mainichi.jp/select/biz/news/20101225dde041040005000c.html

 ◇課題は過剰ブロッキング

 インターネット上の児童ポルノに対するブロッキング導入に向け、通信関連事業者などのグループが「アドレスリスト作成管理団体(リスト管理団体)」の設立準備を始めた。リスト管理団体が中心になって、来年4月からのブロッキング開始を目指す。ただ、事業者らが検討している方式では、児童ポルノ以外のものまで遮断してしまう可能性もあり、ブロックする基準など検討課題は多い。【鮎川耕史】

 リスト管理団体は、ネット上の有害情報を監視する「インターネット・ホットラインセンター」や警察庁の通報をもとに児童ポルノのアドレスリストを作成。ブロッキングを実施する接続事業者(プロバイダー)などに提供する。

 現在は、ホットラインセンターによるサイト管理者への削除要請や警察の捜査で対応している。だが、氾濫する児童ポルノに追い付かない状況があり、強制的に接続できなくすることで実効性を高めるのがブロッキングの目的だ。

 団体設立を目指しているのは、企業や有識者で組織する「安心ネットづくり促進協議会」が設置した「アドレスリスト作成管理団体の在り方サブワーキンググループ(SWG)」に参加するプロバイダーや検索エンジン事業者など約15社。11月からの協議で、SWGメンバーが設立費用を分担し、一般社団法人を設立する方向がほぼ固まった。

 運用開始までの検討課題は、オーバーブロッキング(過剰遮断)への対応だ。

 SWGメンバーは「DNSブロッキング」と呼ばれる比較的安価なブロッキング方式を導入する意向だが、この方式はサイト単位でアクセスを遮断するため、同じサイトに含まれる児童ポルノ以外の画像までが閲覧できなくなる問題が生じやすい。

 ブロッキング対象を児童ポルノだけのサイトに限定する方法があるが、この場合、多くの児童ポルノの放置を許すことになりかねない。児童ポルノ画像の割合が一定以上のサイトを対象とする案も浮上しているが、線引きを巡って意見が分かれそうだ。

 SWGに属していない事業者への呼びかけも欠かせない。ブロッキングを実施しないプロバイダーが多いほど、「抜け道」が残されることになる。SWGメンバーの一人は「ブロッキングがどれほどの規模になるかは分からないが、4月の開始を最優先にしたい」と話している。

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 ■ことば
 ◇ブロッキング

 特定のウェブサイトやファイルへのアクセスを強制的に遮断し、閲覧できないようにする措置で、プロバイダーが実施する。フィルタリングはユーザーの意向に基づき閲覧制限をするが、ブロッキングはユーザーの同意の有無を問わない。ネット上に児童ポルノが氾濫するのを防止するため、政府の犯罪対策閣僚会議が今年7月にまとめた児童ポルノ排除総合対策に盛り込まれた。総合対策ではブロッキングを「今年度中をめど」に実施するとしている。

毎日新聞 2010年12月25日 東京夕刊

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