2010年12月20日月曜日

低用量アスピリンは便潜血検査の精度を高める

低用量アスピリンは便潜血検査の精度を高める(2010.12.20掲載)

http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&task=view&id=2840&Itemid=37

大腸腫瘍からの出血を検出する糞便潜血検査(FOBT)において、低用量のアスピリンを患者に服用させることでより精度の高い結果の得られることが、ドイツの研究で明らかになった。これまで心疾患予防などのために処方される低用量(70mgもしくは85mg)のアスピリン使用は、胃からの出血を増大させ、便潜血検査の結果を歪(ゆが)めるとされていた。

米国医師会誌「JAMA」12月8日号に掲載された今回の研究は、ドイツ癌(がん)研究センター(ハイデルベルグ)のHermann Brenner博士らが2005~2009年に、平均62歳の患者1,929例を対象に実施したもの。233例は低用量アスピリンを定期的に服用しており、1,746人は一度も服用経験がなかった。

同氏らは、悪性、良性にかかわらず進行性の大腸新生物、腫瘍検出における2種類の便潜血検査の感度および精度を分析した。被験者には検査結果の確認のために後で行う大腸鏡検査の事前準備を含め、便採取に関する指導とデバイスが提供された。被験者は、標準化された質問票でアスピリンやその他の薬剤の使用について自己申告した。

研究の結果、進行性の腫瘍はアスピリン使用者と非使用者で同じ割合で検出されたが、2種類の便潜血検査とも感度は低用量アスピリン服用群のほうが有意に高く、一方の検査では感度が70.8%対35.9%、もう一方では58.3%対32%であった。Brenner氏は「大腸癌の早期検出における便潜血検査の原則は、通常は腫瘍からのごく少量の出血を検出することであるが、低用量のアスピリンによりこの検出が容易になる」と述べている。

今回の研究結果について、他の専門医は「無作為化試験、より大規模な試験で追認されれば、将来的に50歳以上の患者において便潜血検査前の低用量アスピリン使用がガイドラインに盛り込まれる可能性がある」と述べている。(HealthDay News 12月7日)

http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=647113