部活と学業:大韓民国の悲しい運動部員たち
http://www.chosunonline.com/article/20090104000018授業は1日に2時間、暴力や性的虐待も
人権委が中・高運動部の実態を明らかに
中学・高校で運動部に所属する生徒たちは1日2時間しか授業を受けることができず、10人中8人は暴力を受けた経験があり、10人中6人は性的虐待まで経験したことがあるという。今回このような内容について言及した報告書が、韓国では初めて発表された。国家人権委員会は過去5カ月間に全国9カ所の中学・高校の運動部員1122人(男子584人、女子538人)を対象に行った「運動部選手の人権実態調査」の結果を12月19日に公開した。人権委の文敬蘭(ムン・ギョンラン)常任委員は「人権侵害の実態は想像していた以上に衝撃的だった」「問題がスポーツ界内部だけにとどまらず、社会的にも再生産されている現実を目の当たりにした」と述べた。
◆授業に出られず社会への適応能力に問題
調査によると、運動部員たちは被害を受けても簡単にはスポーツをやめることができない状況にあることが分かった。授業にも出ずに一般の生徒たちと隔離された生活を続けてきたことから、社会への適応能力に問題が生じ、運動以外にできることがなくなってしまったからだ。文委員は「学習権の侵害が(性的)暴力などの問題の根元となっている」と指摘した。
人権委が発表した中・高運動部員たちの1日の正規の授業出席時間は、試合があるときは平均2時間、試合がない時でもわずか4.4時間だった。82.1%の生徒は欠席に伴う補充授業を全く受けていなかった。研究責任者で梨花女子大学韓国女性研究院のイ・ミョンソン教授は「数値の裏側にある現実はもっと深刻なものだ」と語る。授業に参加してもついて行けず、居眠りをしたりインターネットで時間をつぶすケースがほとんだという。
◆授業に出られず社会への適応能力に問題
教師たちも、授業の進行に邪魔になるとして運動部員たちを放置している。ある女子校のバドミントン部に所属する2年生の女子生徒は、「何も知らないから足し算や引き算から学ばないと」と語った。
◆生徒の64%が性的虐待を経験
調査の結果、言葉や身体的な暴力を経験した生徒は78.8%に達した。そのうち25%は週に2回以上、5%は毎日暴力を受けていると回答した。高校3年生でバスケットボール部に所属するある男子生徒は、「先生が先輩を殴ると、先輩も後輩を足で踏みつけた」と語った。さらに、性的な虐待も深刻だ。63.8%の生徒が指導者や先輩から性的関係を要求されたり、服を脱がされた経験があり、実際に強姦された生徒も12人いた。調査によると、ある女子中学のハンドボール部2年生は、「監督が"キスしなければ夜も練習だ"と脅迫してきた」と打ち明けた。
今回調査に参加した専門家は「指導者や父兄の考え方を変えると同時に、何らかの対策を立てる必要がある」と口を揃える。生徒たちも大会での成績だけが優先される現在の合宿や全国大会、体育特技者(スポーツ選抜学生)制度などに対して、改善の必要性を強く訴えている。また米国やオーストラリアなど先進国での事例を取り上げながら、「一定以上の学業成績に達しなければスポーツをさせない制度」や「チューター制度」などで解決を図ることを提案している。
◆「不満や悩みを訴えるところもない」
文常任委員は「スポーツをやめることもできない生徒たちは、不満や悩みを訴えるところもない」「来年の上半期中に現場でのガイドラインを作成し、暴力問題や性的虐待の専門家、精神科医らが被害を受ける生徒の相談を受ける支援体制を構築したい」と述べた。
チョン・セヨン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版