2008年8月10日日曜日

エアー社フラッグシップアンプKX-R、MX-R

Ayre社のフラッグシップ機、リファレンスプリアンプKX-R preamplifier 296万円、ブラックバージョンは4万円増しと
リファレンスモノラルパワーアンプMX-R mono amplifier 296万円、ブラックは304万円


エアーのアンプは音がいいことで知られている
NFBをかけないのが特徴のアメリカのメーカー

正式に輸入するか決まっていないときの試作機を聴いたとき音が良くてびっくりした記憶がある
試作機はバブル期の日本向けのつもりだったのか純金無垢製のボタンや筐体でギンギンビカビカで、今でも見た中で一番光り輝いていたが成り金の悪趣味で当時はあきれた

その試作機は見た目の趣味の悪さはともかく、とにかく音が良かった
叩きつけるようにストレートに高速に反応し、超辛口、スパイシーな表現で高域でそれが顕著だった
パーフェクトニュートラルではなく個性的だったがすばらしかった
今でも音が耳について残っている

そのうち日本に輸入されるようになり自然で空間が澄み・広がり、音色の自然さ、描き分けがすごく、スッと音の立ち上がり・立下りが評判となり人気が高まっていった

リファレンスを開発しているという話は何年も前から出ていて、各国のオーディオショーに出品しつつもいつまでも発売されないことが話題になっていた
AKGの701、601のように『作りたいが作れない』販売されない幻のお蔵入り製品と思われてしばらくたってからAKGもエアーも製品を出してきた


リファレンス以前の製品は自然さと素直に音の大小に追従するストレートさ、鋭敏に音色を描き分けるが、どこか小気味よくかわいらしさがあった


リファレンス機もその系統のクオリティアップと思って聴いたが違っていた


音量が小さいときは以前の機種で聞かれたチャーミングさとか気を引く可愛さがなくあくまで完全に自然
聴いてつまらないとかガッカリとかはしないが自然すぎてどうってことないハッタリのまったくない音
味も素っ気も魅力もない、音楽嫌い量産機、ダールジ―ルdarTZeel社やサザーランドSUTHERLAND社のアンプのようにはならない

ニュートラルに進化するということでは正しいのだろうな、と納得しようとするが何か気になる

音量調節時にカッカッカッと盛大に音を出す、あるいは鳴らしているのが愛嬌といえば愛嬌
ただ、階段状に音量が上がる機器の難しいところは聴きたい音量ドンピシャにならないことだ

ステップ数は多いのだろが本当に出したい音量にならず、一番近い音量を選ぶことになった
最近の機器はこういう状態がほとんだ
ステップ数が多いジェフローランドでさえも「ちょっと希望とは違う音量なんだけどな」となる
アナログでもデジタルでもステップ状の音量調節で希望通りの音量を選べるのはマークレビンソンくらいしかない
ただ、あの使い心地はありえないと思う。黒地に赤文字も見にくいったらありゃしない
音量を変えようとしてボリュームノブに指より先に爪があたるとドッカーンと大音量になるのは絶対にいやだ

やはりアナログボリュームタイプが使いやすい



激しくパルシブな音楽をかけたらもうビックリ
恐怖サウンドに一変

「自然なだけ…?」とどこか落胆しかける気持ちを抑えていた印象はガラリと変わり生き生きとしているし怖い

こんなにスッと高速に、しかも限界がないかのようにパルシブな音の大小に追従するアンプは聴いたことがない

プロ機のアムクロンAMCRON社(海外ではクラウンCROWN。日本では商標の都合で名前が違う)もバシバシくるがここまで高速に追従できないし、常に音が厳しく自然そのものの音が出せない
なのでエアーにはなれない

ハルクロや、以前と打って変わってよくなったゴールドムンドのテロス、なかでも孤高の存在といっていいほど突き抜けて良いTELOSの2500などを聴いてもここまでダイナミックにバシバシと追従することはない


話が変わるが、ゴールドムンドはパワーがテロスでこれほど良くなったのだから他をどうにかしなければならない
特にプレーヤーやプリアンプ、中でもデジタルアンプのキーキーがさつでハイバランス、うるさいのを何とかすべきだ
音はいっぱい聞こえてくるがささくれ立って聴いていられない
しかし、確か25セット限定で完売したパワーアンプ、テロス5000は一度聴いてみたいものだ


エアーに戻すと
中音量くらいまでは「この美音は日本メーカーには出せないな。美音というと高音ばかりに気をとられた音しか作れないし」と美音に酔いしれていたが怖い録音は恐ろしい音で再現してくる

小音量と大音量で同じディスクをかけなかったので断言できないが、もしかすると小音量と大音量で音が違うかもしれない

そのうち確認することがあるかもしれない
しかし、以前書いた通りかつてないほど自分のオーディオに満足しているのでもう積極的にオーディオ機器を聴くことはないので先は長いと思う