2008年8月21日木曜日

並行輸入品を理由に修理拒否

【代理店取引】独占禁止法の法律相談 2008年8月21日22:05

Q、
並行輸入品を購入した消費者が、並行輸入品が壊れてしまったので修理して欲しいとコンタクトをしてきました。当該製品は、輸入総代理店である自社が販売した製品ではなく、あくまで並行輸入業者から購入したものである場合に、修理を拒否することは、独占禁止法上、問題ありませんか?

A、
並行輸入と修理拒否
一定の場合には、不当な取引妨害に当たるとして、排除措置命令の対象になることもあり得る!!
代理店取引に関わる問題
総代理店は自己の供給する数量に対応して修理体制を整えたり、補修部品を在庫するのが通常ですから、並行輸入品の修理に応じることができず、また、その修理に必要な補修部品を供給できない場合もあります。したがって、例えば、総代理店が修理に対応できない客観的事情がある場合に並行輸入品の修理を拒否したり、自己が取り扱う商品と並行輸入品との間で修理等の条件に差異を設けても、そのこと自体が独占禁止法上問題となるものではありません。

しかし、総代理店もしくは販売業者以外の者では並行輸入品の修理が著しく困難であり、又はこれら以外の者から修理に必要な補修部品を入手することが著しく困難である場合において、自己の取扱商品でないことのみを理由に修理若しくは補修部品の供給を拒否し、又は販売業者に修理若しくは補修部品の供給を拒否するようにさせることは、それらが契約対象商品の価格を維持するために行われる場合には、不公正な取引方法に該当し、違法となります。

このように、並行輸入品の修理拒否は、即、独占禁止法違反の行為として、排除措置命令の対象になるわけではありませんが、上記でみたように、総代理店や販売業者以外のものでは修理が難しかったり、補修部品の入手が難しいという事情がある場合に、修理を拒否する場合には、それが不当な取引妨害として、不公正な取引方法に該当すると判断されないよう十分に注意する必要があります。