【気になる新刊】2008年1月21日 掲載
「キズ・ヤケドは消毒してはいけない」夏井睦著(主婦の友社 1300円)
http://gendai.net/?m=view&g=kenko&c=110&no=16965
キズ口の乾燥を防ぐだけでキズがすぐに治ってしまうことは、40年以上前に証明され、医学の教科書にも載っている普遍的事実。著者はその方法を徹底的に追求して「うるおい治療」の手法を確立し、キズだけでなく、ヤケドや主婦湿疹、ヒビやアカギレ、乾燥肌の治療にも大きな成果をあげてきた医師だ。
ケガにより神経終末が顔を出している"キズ"は乾燥すると、さらに神経が傷ついてしまう。また消毒すると、バイ菌も死ぬが、それ以上に人体細胞が傷つき、結果的に化膿しやすくなる。それなのにキズを消毒する医師が多いのは、ひとえに医学界に上意下達が横行し、古い治療法が無批判に受け継がれてきたから、と著者はいう。
「うるおい治療」は、
(1)キズの汚れを水道水で洗い
(2)水分を拭き取り
(3)ラップにワセリンを塗り
(4)傷に当てテープで留め
(5)その上から包帯を巻く
(6)1日1~3回キズの周囲を水洗いして、再び(2)に戻る
――が基本。
その症状別やり方から、低温ヤケド、かぶれ、靴ズレ、かさぶたなどへの対処法、「うるおい治療」が受けられる病院の紹介まで。常識をくつがえす画期的治療法をわかりやすく解説した一冊だ。