2008年8月2日土曜日

世界で初めて有効性が認められた進行肝がん薬の威力

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肝炎インターフェロン医療費助成、1年半に延長へ 2008年8月2日17:33

【米国臨床腫瘍学会"ASCO"2008】2008年7月3日 掲載
世界で初めて有効性が認められた進行肝がん薬の威力
http://gendai.net/?m=view&g=kenko&c=110&no=17212

飲み薬だから、今の有力治療を受けられない患者も大丈夫

 世界中のがん治療関係者が注目した今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)の肝がん分野での最大のトピックスは、アジア人の進行肝がんに世界で初めて有効とみられる画期的な薬が報告されたことだ。その名はソラフェニブ(商品名ネクサバール)。日本では腎がんの薬として承認されている分子標的薬で、がん細胞に栄養を送る新生血管とがん細胞そのものを攻撃する働きがある。

 これまで進行肝がんの治療は極めて難しく、この薬が世界の標準治療法になる可能性があるという。東大大学院医学系研究科消化器内科の小俣政男教授に聞いた。
 台湾人医師の発表によると、進行肝がんのアジア人患者226人を2グループに分けて、それぞれソラフェニブと偽薬を投与したところ、前者は後者に比べ病状が悪化しない期間で2倍(1.4カ月)、生存期間は約1.5倍(2.3カ月)も長かったという。

「実は欧米人を対象にした同様の研究内容が昨年のASCOで発表され、大きな話題になりました。しかし、肝がん患者の75%はアジア人で欧州人の患者は少ない。薬の効果は人種差があるため、アジア人に対する規模の大きな臨床試験が待たれていました。その意味で今回の研究は大きな意味があります」

 現在、肝がんの治療法は(1)手術による切除(2)高周波の電流によりがん細胞を壊死(えし)させるラジオ波熱凝固療法など内科的局所療法(3)がん細胞を兵糧攻めにする肝動脈塞栓術などがある。

 しかし、いずれも早期肝がんに対する治療法だ。肝がんをすべて切除したり死滅させたりしても、肝臓そのものがウイルスに侵されているため、およそ1年で約20%、5年で80%以上の患者が再発する。

 どの治療法を選択しても効き目が徐々に低下。やがて肝がんが腸や胃などから栄養分を集めて肝臓に送る門脈へがん細胞が浸潤し、進行肝がんへと移行する。そのため、進行肝がんの有効な治療法開発は急務だった。

「患者数が多い日本では肝臓がんの研究は世界トップクラス。世界には知られていない、進行肝がんの有効な治療法があります。例えば"インターフェロン併用5―FU動注化学療法(INF併用肝動注療法)"です。日本では今後、INF併用肝動注療法とソラフェニブとの比較試験が行われるはずです。その結果をみて、新薬を併用して使うのか、単独で使うのか考えるべきでしょう」

 実際インターフェロン注射をしつつ、太腿から挿入したカテーテルでがん細胞に直接抗がん剤を投与するINF併用肝動注療法の生存期間は、今回発表されたソラフェニブより長い例もあった。

 とはいえ飲み薬であるソラフェニブの登場で、INF併用肝動注療法ができない患者まで治療が可能になるのは事実。進行肝がんの治療効果が上がるのは間違いない。