2008年8月9日土曜日

日本再登場カーマ、フラッグシップスピーカー試聴

オランダのメーカーのカーマ Kharmaがアクシスの輸入で再登場することとなった

セラミックを搭載しているということでルーメンホワイト、アバロン、またかつてのアーテミスを所有していて延長線上の買い替えを考えている人が悩んでいるとしたら悩む必要はない
各社、ぜんぜん音が違うのでどれかのメーカーの代替でカーマを考えているのならそれはできない
ひ弱な虚弱感のない健康的なサウンド

以前輸入されていたときは、店頭でよく見かけるようになったもののいつのまにか見かけなくなり、輸入が終わったとかなり後になって知り驚いた
ある程度のショップで見かけるようになったメーカーが1年もしないうちに取り扱い終了というのは珍しいので印象に残っていた

ユニットメーカーのOosterum Loudspeaker Systems(O.L.S. Audiotechnology)社のスピーカーシステムメーカーのブランドがカーマになる

セラミックのスピーカーユニットといえばアバロン・アコースティックスAvalon Acoustics社やルーメンホワイトlumenwhite社、かつて存在していたアーテミス・システムズArtemis systems社など多岐にわたる


その中でも特にアーテミスは音が魅力的でいまだに心を捉えて離さない
アーテミスが日本に輸入されていたころのイオスEOSの音色は中域から上の帯域に艶が乗り、音の粒子も感じられるサウンドだった
とにかく音が美しく、それでいながら動的にダイナミックで快活、そのころのハイエンドスピーカーといわれるものはアバロンなど低域がかなり薄くエキセントリック感が強すぎた
サブウーファーなしでも売られていたウィルソンのWATTは、そのころ日本に登場してきた新しいアメリカンハイエンドメーカーに比べれば単体でもアグレッシブな低音表現でまだ低音のバランスが取れているほうだった
低音の量に問題がなかったアメリカのハイエンドメーカーといえばティールくらいだった

低音の弾力感が魅力で音痩せしないアコースティックエナジーAE社はイギリスだし、今はどこの国が拠点なのかはっきりしないスイスのゴールドムンドGOLDMUND社のフルエピローグFULL EPILOGUEスピーカーシステム(現在価格3500万円)を構成する2ウェイ機、エピローグ1・EPILOGUE 1(現在価格500万円)は最低域までレスポンスがあるものの単体では音の厚さが十分と言えない

アバロンやルーメンホワイトも完全ニュートラルというよりは少し音作りで艶を乗せている


それらに比べカーマのグランド・セラミック・ミディー1.0、Grand Ceramique Midi 1.0(609万円)のセラミックユニットは完全にニュートラル志向の音だ
なのでアーテミスやルーメンホワイトと共通の音の傾向を求めるなら無理だ

セラミックシリーズで、1や3.2.2はチタンツイーター、ほかのラインはセラミックツイーター搭載となんだか意味がわからないなと思いながら聴き始めたがセラミックとチタンツイーターのつながりは大丈夫だった
とことん厳密に聞けばチタンツイーターの子音やアタックで金属と思わせるところが時折出るものの、その違いよりSPや機器の置き方、インシュレーター、ケーブルのほうが比べ物にならないくらい音が大きく変わる

スパイク受けを含め音作りしたとのことで、有る無しで定位や空間表現が変わる
ただ、固い床、やわらかい床、いろいろな床、どこでもスパイク受けを使ったほうがいいというわけではなく今回はスパイク受けを使わずカーペットを突き抜けてコンクリートにスパイクが載るほうが明らかに良かった


ウーファーユニットはアバロンや、アマチュア向けよりプロに人気が高いアダムADAM社で見かけるメーカーのものと思われる
以前輸入されていたころのカーマのレビューといえば、セラミックユニットが艶が乗り、低音はゴム質という定評だった
中高域の癖の有る艶はなくなったが低音はどうだろうと聞いてみた

ごく最近のアバロンはアイドロン・ビジョンEidolon Visionのように「ほんとにコレ、アバロン?ニセモノじゃないの?」というくらい低音がエネルギッシュで血の気が多い音も出してくる
重量感もたっぷり出す

アダムはとにかくゴム質の低音でダレた弾力感でだらしない感じの低音だ
あの低音は自分はいやだ
ハイルドライバーをベースとした独自のARTトゥイーターやミッドレンジがメーカーの特徴となっているが低音はどうにかしないといけない

アダムよりゴム質な低音というと1機種しかしらない
ウィルソンオーディオのサブウーファー、ウォッチドッグWACTH Dogだ
あきれるほど大きく重く値段も高かったが、ウィルソンのほかの機種の低音と違い今まで聞いた音の中で一番ゴムのような音でがっかりした記憶がある
あれは自分には絶対受け入れらない
今はWACTH Dog 2になっていて、自分が聞いたのが初代か2かわからないが、それを把握する気にすらならないほど良くなかった

このあたりのことを考えて聴くと「やっぱりゴム質?」と思って聴き始めたのだが、もうゴム質といわれた質感ではない

低音を聴いてちょっと懐かしい感じを受けた
昔のスピーカーのように重く大迫力でズシーンと遅いということではないが、ルーメンホワイトのように速いけど低音が下支えしないとか、アメリカンハイエンドに見られる腰高低音不足ではなく、現代的な物理特性を満足しつつ隠し味で昔っぽいニュアンスや方向にも振っている感じだ
ルーメンホワイトのように常にボーボーいって、スピーカの後ろに雑音が広がることもない
音楽を聴いていて安心できる