川崎病、複数細菌原因か…順天堂大チーム
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=17151抗菌薬で治療成功
乳幼児の原因不明の難病・川崎病が、体内で大量に増えた複数の細菌の感染によって引き起こされる可能性が高いことを、順天堂大のチームが突き止めた。従来の治療法では効果のない患者の治療にも成功しており、英国免疫学会誌電子版で発表した。
研究チームの永田智(さとる)・准教授らは、患者ののどや小腸に、毒性の弱いブドウ球菌や、ありふれたタイプの桿菌(かんきん)の仲間が、通常の10倍~100倍も存在することに気づき、詳しく調べた。
その結果、〈1〉ブドウ球菌によって免疫反応が強まり、高熱や腫れの原因になる〈2〉桿菌の仲間は血管内皮細胞にHSP60という特殊なたんぱく質を作らせ、これが免疫細胞の標的となり、冠動脈で過剰な免疫反応が起きる――ことを突き止めた。
炎症を抑える血液製剤を大量に投与しても効果がない患者7人に、ブドウ球菌や桿菌を抑えるST合剤という抗菌薬を投与したところ、6人が回復した。
研究チームの山城雄一郎・特任教授は「細菌の組み合わせによって症状が変わると考えられる。数滴の血液から細菌の種類を特定できるので、さらに多くの症例を調べれば治療法を確立できるだろう」と話している。
川崎病 1967年に川崎富作博士が発見した。日本人や日系アメリカ人、韓国人などで4歳以下の子どもに多く、日本では年間約1万人が発症。高熱や目の充血、発疹(ほっしん)、唇や口の中が腫れるなどの症状のほか、5~10%で心臓の冠動脈に動脈瘤(りゅう)ができたまま残り、心筋梗塞(こうそく)で亡くなることもある。
(2009年11月17日 読売新聞)
用語解説
心筋梗塞 ST合剤
関連記事
Powered by Fresheye
【健康ニュース】 たった1個の遺伝子の違い、人間に高度な言語能力?米大学発表 (2009年11月12日)
【医療ニュース】 痛風の遺伝子突き止める…防衛医大・東大などチーム (2009年11月5日)
【医療ニュース】 iPS細胞の培養期間を半減…米研究所チームが成功 (2009年10月19日)
【医療ニュース】 アルツハイマーは睡眠不足から?…米研究チーム発表 (2009年9月25日)
【医療大全】 大阪大がアミロイドベータの蓄積量測定に成功、発症予測に道 (2009年6月10日)
【医療大全】 九大グループ、神経因性疼痛の発症メカニズム解明 (2009年4月21日)
【医療大全】 がんワクチン (2008年12月4日)
【医療大全】 異物分解の異常、痛風起こす?阪大グループ (2008年10月6日)
【医療大全】 やせている人でも生活習慣病になる危険あり (2008年6月15日)
【医療大全】 [薬物治療]ハーセプチン、再発予防にも使えるように (2008年3月14日)