日本の刑事裁判は99.9%有罪の世界ですから、1件でも自分の担当が無罪になれば黒星。だから起訴されなかっただから日本はえん罪が多いのか。
ただし、裁判官がそれらを全く見抜けず盲目的に認めているのだから問題だ。
すぐわかる間違いを見逃している場合は起訴した警察も検察も裁判官も刑務所に入れるべき。
解決!法律塾 2010年 2月 04日
お金やモノを盗らなくても成立する「強盗罪」とは?
http://president.jp.reuters.com/article/2010/02/04/1872DF6E-0997-11DF-8E3D-0EC93E99CD51.php利益強盗
プレジデント 2010年1.4号
利益強盗や事後強盗は、典型的な強盗の形からは懸け離れている。だが、私たちの日常生活と隣り合わせで潜んでいる犯罪行為といえよう。
司法ジャーナリスト 長嶺超輝=文 ライヴ・アート=図版作成
キーワード: 生活 世のなか法律塾
昨年11月、料亭の女将を殴ってケガを負わせたとして、大手ビール会社の社長が、傷害の疑いで書類送検されている。酒には、企業のトップにすら道を踏み外させる面がある。
刑事弁護の職務に精通する大河内秀明弁護士(横浜弁護士会)も、酔っぱらいトラブルで発生した刑事事件を担当した経験が何度もあるという。
たとえば、一流企業の社員が酒に酔って、強盗致傷に問われた事件。強盗致傷罪といえば、「成立すれば6年以上の懲役、会社からは通常、懲戒解雇される」(大河内弁護士)。
「強盗」にも様々な種類がある
なぜ、金に困っているわけでもない普通の会社員がこのような重大犯罪に問われることになったのだろうか。経緯は次のようなものだ。この社員は居酒屋からの帰り道、タクシーで目的地に到着した際、前後不覚で代金を払わず立ち去ろうとした。運転手に追いかけられた際も、誰かに絡まれたと勘違いし、手に持っていた傘で殴りつけ、打撲傷を負わせたのだ。
強盗といえば、凶器を片手に覆面でもかぶって、銀行やコンビニに侵入し、「カネを出せ!」と叫び散らすようなイメージが一般的ではないだろうか。
金品を渡すよう脅したわけでもないのに、なぜ強盗なのか。
「支払うべきものを免れれば、それも金品を得たのと同様、財産的利得。相手の反抗を抑圧して利得を得れば、強盗が成立します」(同)
このケースでいう「財産的利得」とは、タクシー旅客運送という有料サービスを、タダで受けようとした事実だ。こうした財産的利得を暴行・脅迫を手段にわが物とする強盗を、特に「利益強盗罪」や「強盗利得罪」、あるいは刑法236条二項に定めがあることから「二項強盗罪」と呼ぶ。ただし、刑罰の重さは一般的な強盗罪と変わらぬ扱いで設定されている。
また、一般的な強盗のイメージは、「暴行・脅迫」の後「利益を獲得」するものだが、この順序が逆でも、法律上は強盗であることには変わりないとされる。この場合を「事後強盗」と称することもある。
タクシーで目的地まで運んでもらい「利益」を得た後に、運賃を踏み倒す目的で運転手を殴って逃げたなら、これは利益強盗であり、かつ事後強盗。ケガを負わせれば強盗致傷が成立してしまう。
支払いを忘れて居酒屋やカラオケボックス、ネットカフェなどの精算カウンターを通り過ぎて、店を出ていき、店員が背後から呼び止めてきたところを殴りつける。あるいは.まえてきた腕を振りほどいて転倒させる。その程度のことは、泥酔して判断力が低下していると、うっかりやってしまいかねない。
利益強盗や事後強盗は、典型的な強盗の形からは懸け離れている。だが、私たちの日常生活と隣り合わせで潜んでいる犯罪行為といえよう。
幸い、前に述べたタクシー運転手に対する強盗致傷に問われた件で、大河内弁護士は捜査側に働きかけ、「処分保留で釈放」となった。
「雑談してるときに刑事が『ここに彼が来たときはもうベロベロだったんですよ』と口を滑らせたのです。ベロベロなら、ワケがわからなくて、運賃を踏み倒す意思も何もないということでね」(同)
ただ、それでは強盗致傷罪は免れても、運転手を傘で殴った傷害罪に問われかねない。
「傷害では罰金だけで終わるので納得できないと考えた検察は、強盗致傷で頑張りましたが、無理して起訴しても無罪判決が出てしまう。日本の刑事裁判は99.9%有罪の世界ですから、1件でも自分の担当が無罪になれば黒星。だから起訴されなかった」(同)
忘年会や正月、新年会シーズンには、適度な酒量は守りたいところだ。