2010年1月8日金曜日

「痩せていて糖尿病」の人に遺伝子変異、発症2・5倍に

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「やせ形で糖尿病」遺伝子変異発見 発症の危険2・5倍に

http://osaka.yomiuri.co.jp/science/news/20100108-OYO8T00964.htm

 太っていない人が糖尿病を発症しやすくなる遺伝子変異を、徳永勝士・東京大教授らのグループが発見した。患者と健康な人、計3268人の遺伝子を分析した結果、この変異を持つ人は変異のない人に比べ、糖尿病になる危険性が1・75倍に上昇。特に肥満でない人に限ると、危険性が2・51倍に跳ね上がっていた。糖尿病につながる遺伝子は数多く見つかっているが、非肥満型のリスク遺伝子は初めて。米人類遺伝学会誌に8日、発表する。

 この遺伝子はKCNJ15と呼ばれ、膵臓の細胞でインスリンの分泌を抑えるたんぱく質を作り出す。インスリンの分泌が減ると、筋肉や脂肪の細胞が血液中の糖分を取り込まなくなるので、太りにくい反面、糖尿病になりやすくなる。新たに見つかった変異は、この遺伝子の働きを過剰に高めるため、インスリンが不足し、やせ形で発症する危険を高めるとみられている。

 欧州の糖尿病患者には肥満が多いのに対して、アジア各国では、肥満でない人の発症が多い。研究グループの岩崎直子・東京女子医大准教授は「インスリン分泌のメカニズムを明らかにして、新しい治療薬を開発したい」と話している。
(2010年1月8日 読売新聞)