2010年1月26日火曜日

嗅覚異常調べる試薬開発-早期の認知症発見も可能

嗅覚異常調べる試薬、産総研が開発 認知症の早期発見も

http://www.asahi.com/science/update/0126/TKY201001260219.html

2010年1月26日18時12分

 嗅覚(きゅうかく)の異常を調べる試薬を、独立行政法人・産業技術総合研究所(茨城県つくば市)が開発した。現在、複数の医療機関で試験導入されており、いずれは人間ドックなどでの採用を目指すという。嗅覚の異常は自覚症状がないため発見が難しい。診断ができればアルツハイマー病などの早期発見にもつながると期待されている。

 開発したのは、産総研人間福祉医工学研究部門の小早川達・主任研究員。「オープンエッセンス」の名で、2008年秋から和光純薬工業(大阪市)を通じて全国の医療機関へ販売している。

 試験薬は手のひらサイズのカード型。中ににおいの分子が印刷されており、鼻を近づけてかいだ後、4個の選択肢からにおいを当てる仕組みだ。1セット12枚で、おおむね4回以上誤った場合、嗅覚異常の可能性があるという。

 嗅覚障害に詳しい金沢医大の三輪高喜・医学部教授によると、全人口の1%ほどに嗅覚障害がみられるとの調査結果がある。しかし嗅覚異常は自覚症状に乏しく診断を受ける例はまれだ。認知症では初期段階で嗅覚に異常が見られることも多い。

 小早川研究員は「一人でも多くの人が検査できるよう、人間ドックへの採用を目指したい」と話している。(羽賀和紀)