2010年1月10日日曜日

「別件逮捕」乱発、日本の警察

4度目、5度目は当たり前「別件逮捕」乱発のナゼ

http://news.livedoor.com/article/detail/4541392/

2010年01月10日10時00分 / 提供:ゲンダイネット

●裁判員を恐れるあまり、慎重に慎重に

 ATMの男が3度目の逮捕だ。千葉大生殺害事件で、被害者の荻野友花里さん(当時21)のキャッシュカードでATMから現金を引き出したと認めた住所不定・無職の竪山辰美(48)が、別の女性2人への強盗致傷などの容疑で千葉県警に再逮捕された。

 荻野さんのカードの入手先について、竪山は「拾った」「人からもらった」などとあいまいな説明を繰り返しているという。“本丸”の殺害事件での立件は、まだまだ先のようだ。

 それにしても、このところ、日本の刑事警察は“別件逮捕”を乱発し過ぎではないか。

 周囲で6人が怪死した鳥取の毒婦・上田美由紀(36)は「4度」、東の毒婦、婚活サギ女の木嶋佳苗(35)は「5度」、別件での逮捕を繰り返されている。いずれも「殺人容疑で再逮捕へ」と報じられながら、その後はプッツリ。本件の殺人は手付かずのままだ。

 押尾学(31)の保護責任者遺棄致死事件もそうだったが、メディアを賑わす事件ほど「まずは別件で」という捜査方針が定着しつつある。捜査の現場で何が起きているのか。警察出身でジャーナリストの黒木昭雄氏が言う。

「一番大きな影響は裁判員制度の導入です。かつては警察、検察、裁判所が一心同体で“なあなあ”が許されましたが、一般市民が鉄のトライアングルに加わったことで、状況が一変。特に検察サイドが公判での不測の事態を恐れ、より慎重な捜査を現場に押し付けているのです。特に確たる物証も自白もない事件ほど、“これでもか”と状況証拠を積み重ねるよう要求されます。慎重に慎重を期すため、なるべく時間を稼ごうと別件逮捕が増えるのです」

 シラミつぶしの捜査に追われ、現場の警官も悲鳴を上げているのが、刑事警察の実態なのだ。

「かつては『別件逮捕=違法捜査』という世論が強かったが、オウム事件や和歌山カレー事件の頃から寛容になりました。そんな世論に警察が甘えている部分もあると思います」(前出の黒木氏)

 やはり4度目、5度目の逮捕は当たり前なんて、どこかおかしい。

(日刊ゲンダイ2010年1月7日掲載)