2010年1月18日月曜日

生活保護を受給させ儲ける「困窮付け込みビジネス」

恐るべき“貧困ビジネス”の世界 生活保護者はカネになる

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20100118/dms1001181207000-n2.htm
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1001/18/news074.html

2010.01.18

 生活保護受給者向けの「無料低額宿泊所」を運営する団体が、総額約5億円もの所得隠しをしていたことが先週発覚した。しかし、これは氷山の一角。福祉を隠れ蓑に暴利をむさぼる業者はウジャウジャいる。なかには、「暴力団の資金源になっている例もある」という。“貧困ビジネス”の悪辣な実態とは-。

 名古屋国税局は、任意団体「FIS」の藤野富美男経営者(45)=東京都文京区=と幹部2人を所得税法違反容疑で、名古屋地検に告発した。

 藤野経営者らは、入所者に毎月支給される生活保護費約12万円のうち、1人あたり9万円を家賃や食費名目で徴収。必要経費を除いて得た利益を個人所得として申告していなかった疑い。FISは2002年の設立以来、名古屋市をはじめ、埼玉、千葉、神奈川などに21の宿泊所を運営。約2000人を入居させていた。入所者に施設の経理や事務も担当させており、06年に約10億円、07年には約20億円もの利益を上げていたという。

 大企業並みの“売り上げ”には驚くばかりだが、「FISのように宿泊所を全国展開して多大な収益をあげている団体は少なくない」と話すのは川崎市で介護施設を運営する男性(32)。

 「保護費の原資は税金だから、取りっぱぐれる心配はない。生活困窮者を一度囲い込めば、安定的な収入が見込める。自立支援をうたいながら、実際には入居者を軟禁状態にして保護費をピンハネする業者も多いと聞きます」

 実際、こうした宿泊所をめぐるトラブルは数年前から頻発している。

 埼玉県川越市の施設に入居した女性(67)も、悪質宿泊所の被害に遭ったひとりだ。

 「4畳半1間に押し込められて、外出も満足にできない。通帳と印鑑を取り上げようとするので文句を言ったら、『暴力団にぶっ飛ばされるのとどっちがいいか選べ』と施設の人に暴力を振るわれたこともありました」

 この女性も、支給される保護費11万円から諸経費として毎月7万520円を徴収されていた。

 生活保護費の「ピンハネ」をめぐっては、明確な法規制がないため、暴力団の資金源になっている例もある。「ヒットドラマ『任侠ヘルパー』よろしく、実際に構成員が管理者として働いていたケースもある」(警察関係者)という。

 昨年には、千葉市内で宿泊所を運営する団体を入居者の男性(61)が刑事告訴するなどの動きもあったが、多くの入居者は泣き寝入り状態だ。

 貧困問題に詳しい宇都宮健児弁護士は「公的な施設がないため、福祉事務所や病院がこうした悪質な宿泊所を安易に紹介するケースも多い。免許や資格がなくても開設でき、施設運営は管理者の裁量に委ねられている。ここまで放置し続けた行政の責任は重い」と指摘している。

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