宇宙の「暗黒物質」検出? 本当ならノーベル賞級の発見
http://www.asahi.com/science/update/1211/TKY200912110276.html2009年12月11日14時29分
【ワシントン=勝田敏彦】宇宙の「物質」の4分の1を占めるとされるが、影も形もない謎の「暗黒物質」の粒子が米国でついに検出されたらしい、との報道が英米の科学雑誌や研究施設の地元紙の電子版などで相次いでいる。暗黒物質の理解は宇宙物理の最も大きな課題の一つで、本当ならノーベル賞級の大発見となる。
宇宙の構成は、我々の世界を作っていると考えられている素粒子は数%に過ぎず、7割強を未知の「暗黒エネルギー」が、2割強をやはり未知の暗黒物質が占めているとみられている。
報道などによると、米ミネソタ大が運営する地下約700メートルにある施設CDMS2が暗黒物質の粒子を検出したという。17日ごろに「検出」を報告する論文を発表するという報道もあるが、研究チームはコメントを出していない。
この施設は、暗黒物質の粒子がぶつかってきたときに起きると予想されるわずかな温度上昇を極低温にした半導体で検出する。「検出」を示すには、まれにしか起きない反応を長期間観測する必要があるうえ、類似現象を確実に除外しなければならず、かなり難しいと考えられている。
暗黒物質は2007年、米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡が、50億光年離れた銀河団に存在しているのを見つけたが、地上で検出されたことはない。検出は各国の競争になっており、東京大宇宙線研究所も岐阜県・神岡鉱山に探索施設の「X(エックス)MASS(マス)」を建設している。
以前、CDMS2のメンバーだった米ブラウン大のリチャード・ゲイツケル教授は「CDMS2の測定感度は2倍近くに上がったが、検出できる段階にはなっていないのではないか」と話している。