2009年12月6日日曜日

食器洗いをすれば食事が無料-餃子の王将、王将フードサービス一部店舗

美談「皿洗いすれば定食タダ」は王将にとってメリットづくしだった

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MONEYzine編集部 2009年12月06日 10:30

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 業績好調の「餃子の王将」。チェーン店の中には、学生向けに30分の皿洗いで食事代を無料にする店さえ存在するが、実はこれは王将にとってメリットづくしだった。

 苦戦が続く飲食業界にあって、「餃子の王将」を運営する王将フードサービスは好調が続いている。既存店の売上高は現在、27ヵ月連続で前年同月を上回っており、来店客数も増え続けている。

 好業績の理由は、こだわりの餃子がリピーターをつかんで離さないところにあるが、経営面では独自のチェーン展開が成功のポイントとしてあげられる。

 同社には外食業界の基本である「どの店でも同じメニューを同じ味で提供」という概念は当てはまらない。500店舗すべて立地・大きさ・レイアウト・定食メニュー等が一店ずつ異なり、地元に愛されるように、各店舗がそれぞれの個性を発揮させるようなシステムを採用しているのだ。


 しかしこうして各店舗にある程度自由な裁量を与える一方で、経営陣の数字に対する姿勢はきびしい。毎朝、前日の売上集計の速報を社長自らチェックし、売上の減少が目立つ店は、すぐさまエリアマネージャーと店長とで問題解決への話し合いがもたれるのだ。

 チェーン店の中には、財布に余裕のない学生向けに、30分の皿洗いで食事代を無料にする店さえ存在し、このエピソードは王将ファンの間で語り継がれているが、そこは数字にきびしい同社だけに単なる美談には終わらない。実はこの「皿洗いで食事代無料」キャンペーンは王将にとってはメリットばかりなのだ。

 同チェーンにおける客1人当たりの食事代は850円程度だが、その原価は業界標準の35%で算出すると約300円。もし学生が食事代を払えない場合は、店側の負担は300円発生するが、30分皿洗いしてもらえば、王将のバイトの時給を900円だと考えると、450円の労働力を得られることになる。つまり差し引き150円の得となり、少なくとも損にはならない。

 さらにこのキャンペーンが客づてに口コミで広まったり、テレビや雑誌にこぞって紹介された宣伝効果を考えると、ローコスト、ハイリターンの広告戦略という見方もできるのだ。

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