オーディオと違いパソコンはどの規格に対応しているか、新規格にいかに早く対応しているかだけで語られることが多かった。
近年は個体コンデンサ使用とか、電源フェーズ数を競ったり、配線の厚さなど部品や配線のクオリティを売りにすることが多くなってきていた。
MSIというとECSなどとやり方が近く、ペンティアム4時代に他社が6層基板やそれ以上のマザーボードを使っているときに『うちは4層基板です。他社より安いです』と安さを売りにしていた。
ペンティアム4の消費電力と発熱が増大することをインテルは公表していて『将来の新型に対応できます』として発売したが4層基板を利用したメーカーのマザーでは新型のPentium 4には対応できなかった。4層マザーボードで対応できたメーカーやマザーは記憶にない。あったかもしれないが無かったと思う。
安くするため基板パターンの配線の厚さが薄く抵抗値が高く発熱しやすいのと電源供給が不安定で、さらに他が6層など利用しているのに4層しかなかったため一層苦しくなり対応できなかった。
公式発表として公表しなかったと思うが、PC雑誌では『メーカーによれば~』『メーカーの担当者によれば~』といった伝聞記事や、記者自身の報告として多くの記事が伝えられた。
基板パターンの厚さが薄くASUSなどに比べ安いことが多い(比較的安いことが売りなので当然)ことが影響しているのか、音質ではMSI、ECSなどは音が悪いと知られている。
ただ、基板の配線の厚さや部品の性能と値段の高さをウリにしているASUSは、音の悪さで不動の横綱なので、配線が厚くて部品が高品質・高価であれば音がいいというわけでもない。そのあたりが音・オーディオの難しさだ。
MSIもASUSもオーディオボードを作っていたと思うが、音の良いマザーを作るということになると別の人が作っているのか相乗効果らしきものが感じられない。
なお、パソコンの音に関しての感想はオーディオマニアのものではなく一般の人の感想だ。
DTMでパソコンを使ってレコーディングしているとか、そういった音にうるさい人の感想ではない。凝ったオーディオシステムを持った人でなくても分かるくらい差があるようだ。
オーディオマニアの場合は、パソコンで音楽を聴くなどということはあり得ないというのが現状だ。
パソコンは音声を再生する程度にしか使い物にならない、デジタルでもアナログでもパソコンはノイズだらけ、という考えがほとんどだろう。
スピーカーに耳をつけるとピポパポとかキュイーンとかノイズが聞こえるので、私も音楽を真剣に聴く、メインにする、などということは考えられない。
PCも品質がメインになってくればそのうち、配線の純度(6N、7N、8N)とかケースの素材、振動の抑え方や逃がし方、基板の基材、テフロンやなど高価だが誘電率が低いものが使われるようになってくるのではないだろうか?
テフロンは摩擦係数が低すぎ時間が経つと部品だけでなく配線パターンも浮いてはがれてくるので発泡テフロンのゴアテックスとかアーロンとかのほうが現実的かもしれない。
オーディオでも極めて採用が少ないチョークコイルを使っているのも注目される。
チョークコイルは音が良いとされるが、それ自身のコストが高いのとリーケージフラッグスが強いのでその対策と空間が必要になるのでオーディオでも採用されない。
スピーカーでもアルニコ磁石が採用されないようにコストがかかることが採用のネックになっている。
サウンドチップはリアルテックRealtek製のHD Audio CODEC「ALC889」が使われている。
アスロックASRock製マザーで採用されるALC890や、ASUSで使われることがあるRealtek ALC1200は採用しなかったようだ。
Realtekは数字が大きいほうが上位グレードであることが多いのでALC890を採用しなかった理由とか興味深い。
またRealtekは左側の数字がチャンネル数を表わすのでALC1200は最大12ch出力できるチップのような気がする。サイトに情報が無いのでよく分からない。
どっちにしろPCのバックパネルに12ch分のコネクタを用意できそうにないので12ch出力のマザーは出てきそうにない。AVアンプ内部でフルに使われているのだろう。
期待はできるものの、所詮はオンボードのサウンドチップだし実物を試験したわけではないのでこの機種の実力はわからない。
あくまで期待値だ。
4Gamerの記事の感想と奇しくも同じ感想だが微妙にやりすぎのような部分も感じられる。
[抜粋]
2009/12/05 10:30 レビュー
MSIのゲーマー向けマザーボード,発売直前検証(前編)
Big Bang-Trinergy
http://www.4gamer.net/games/102/G010213/20091203049/
Text by 米田 聡
Big Bangと冠せられた製品シリーズで,MSIが,ゲーマー向けマザーボード市場へ本格的に参入する。
その第1弾となるのが,「Intel P55 Express」(以下,P55)チップセット搭載製品,「Big Bang-Trinergy」(以下,Trinergy)だ。国内初披露をレポートした2009年10月31日の記事でもお伝えしているように,NVIDIA製ブリッジチップ「nForce 200」の搭載により,3-way NVIDIA SLI(以下,NVIDIA SLIはSLIと表記)をサポートする本製品だが,実のところ本製品は,3-way SLIのサポートがオマケなのではないかと思えるほど,特徴てんこ盛りのマザーボードだった。
Big Bang-Trinergy
メーカー:MSI,問い合わせ先:エムエスアイコンピュータージャパン Tel 03-5817-3389
価格:未定
サーバーボードを超える?!
“超”贅沢仕様のマザーボード
Trinergyには,電解系のコンデンサが一つも使われていないのだ。
一般的なハイエンドマザーボードの例。写真はMSIのP55レギュラーモデル最上位となる「P55-GD80」だ。オール固体コンデンサ仕様を採用している
電解コンデンサといっても,電解液を使った安価なタイプだけでなく,最近では,
三洋電機の「OSコン」など,有機半導体を用いたコンデンサや,さらに固体電解質を用いたアルミ固体コンデンサなどがある。後二者は,サーバー向けマザーボードや,最近では一般PCユーザー向けのハイエンドモデルでも積極的に採用されたりする高品位のものだが,Trinergyにはそれすらも使われておらず,すべて「Hi-C Capポリマーコンデンサ」に置き換えられているのである。
CPU周りの主要電源部はおろか,拡張スロット脇も含め,TrinergyのコンデンサはすべてHi-C Capポリマータイプに変わっている(※左の写真で,矢印で示したのがその例。ずらりと並んでいるのが分かるはずだ)
MSIから全世界のレビュワーへ配布された資料によると,Hi-C Capポリマーコンデンサは高温に強く寿命が長いうえに,高周波におけるインピーダンスの低さを示すESR(Equivalent Series Resistance)も優れているという。
一例を挙げると,
寿命は85℃環境で20万時間。これは一般的な長寿命タイプの電解コンデンサ比で20倍以上である。かなり過酷な条件で使用しても,ほぼ一生使えると見て間違いなさそうだ。
ESRに関しても,定評があるアルミ固体コンデンサと同等かそれ以上の性能を持つとMSI。理論的には,ノイズの低減にもつながることになる。
採用するDrMOSチップはすべてルネサス テクノロジ製だった
nForce 200用にもDrMOSベースの電源回路が採用されている
電源回路の話が出たので続けると,電源のスイッチング素子には,MSIのハイエンドマザーボードでおなじみ,「DrMOS」が採用されている。
DrMOSとは,超低オン抵抗のスイッチング素子を統合したドライバICのこと。オン抵抗が低い――スイッチがオンになったときの電力損失が少なく,いきおい発熱の大変少ないスイッチング素子としてアピールされだしたのは2008年のことだったので,すでに知っている人も多いだろう。
注目したいのは,その数だ。先ほど写真を紹介したP55-GD80だと,CPUに8フェーズ,(CPUの)VTTに2フェーズという,いわゆる8+2フェーズ仕様で,さらにDIMMスロット,PCI Express電源部にも2フェーズずつ持っていたが,
Trinergyでは,さらにもう一つ,nForce 200用にもDrMOSを採用している。総計15フェーズ,フルのDrMOS仕様というわけだ。
パッシブクーラーを外すと,8+2フェーズ構成だと確認可能。スイッチング素子には低発熱高効率で知られるDrMOSや
固体チョークコイル(SSC,Solid State Choke)が用いられている
搭載するVRMコントローラは,Core i7/i5に対応するuPI Semiconductor製「uP6218AM」。MSIのP55チップセット採用マザーボードで採用実績のある製品だ
メモリモジュール用に2フェーズの電源回路を採用。スイッチング素子は当然DrMOSだ
PCI Expressスロット用にも2フェーズのDrMOS回路を搭載している
MSIの上位マザーボード製品でおなじみ,負荷に応じてCPU周りの電源フェーズ数を動的に切り替える「APS」(Active Phase Switching)をサポート。7セグメントLEDを搭載しており,負荷状況に応じたフェーズ数の動きをチェックできる。右は,ちょうど1・2フェーズ動作が切り替わるところ
nForce 200を搭載し
x16-x8-x8接続の3-way SLIをサポート
PCI ExpressブリッジであるnForce 200を搭載。A3リビジョンのようだ
SLI用には,スロットの距離に合わせた3本のリボンケーブルが付属し,最大3-wayをサポート。一方,ATI CrossFireXもサポートされるが,付属する対応リボンケーブルは1本のみなので,3/4-way接続に当たっては,デュアルGPUソリューションの利用が必須になる
冒頭,そしてDrMOSの段でも触れたように,Trinergyの持つ大きな特徴の一つに,nForce 200の搭載が挙げられる。
LGA1156パッケージを採用するCPUの場合,CPUからPCI Express 2.0の16レーンが伸び,SLI対応のP55マザーボードだと,これを8レーン×2に分解してx8-x8の2-way SLIを実現するのが一般的だ。これに対してTrinergyでは,CPUとnForce 200が接続されており,青く塗られた3本のPCI Express x16スロットは,2-way SLI構成時だとx16-x16動作,3-way SLI構成時だとx16-x8-x8動作といった具合に,差さったグラフィックスカードの構成によって,レーン数を自動的に切り替える仕様になっている。
「OC Dashboard」と「QuantumWave」
二つの付属品に注目
もう一つ,というか厳密には二つ,Trinergyを特徴つけているものがある。それは,「OC Dashboard」と「QuantumWave Audio Card」(以下,QuantumWave)という,二つの付属品だ。
OC Dashboard
QuantumWave
OC Dashboardは,同梱の専用ケーブルを用いてI/Oインタフェース部にある専用端子と接続することにより,マザーボードのBIOS設定をカスタマイズできるという,外付けのコントローラユニットだ。
MSIには失礼にあたるかもしれないことを承知で,比較的わかりやすいように説明すると,ASUSTeK Computerのゲーマー向けブランド「R.O.G.」に属するマザーボードで,外部から直接,マザーボードのBIOSを“叩ける”ようにするアイデアがこれまでいくつか出てきているのを記憶している人も多いだろう(関連記事)。OC Dashboardは,そのMSI版といったところである。
一方の,QuantumWaveは,Creative Technology(以下,Creative)独自のサラウンドサウンド技術「EAX ADVANCED HD 5.0」(以下,EAX 5.0)対応が謳われるサウンドカードだ。EAX 5.0対応を謳うサウンドカードは,基本的にCreativeの「X-Fi Xtreme Fidelity」チップ搭載製品しかないが,QuantumWaveは,Realtek Semiconductor(以下,Realtek)製のHD Audio CODEC「ALC889」を搭載しつつ,EAX 5.0をサポートするのが特徴となっている。
EAX 5.0の一部をサポートすると謳うサウンドカードはあった(関連記事)が,Creative製チップを搭載することなく,EAX 5.0の認証を取得しているカードというのは,少なくとも筆者は初めて見る。右は搭載するCODEC,ALC889
I/Oインタフェース部。eSATA端子×2は,USB 2.0端子としても利用できる
本当にEAX 5.0をサポートしているのかについては,後編でテスト結果をお届けしたいと思うが,Trinegyでは,QuantumWaveがアナログサウンド入出力とデジタルサウンド出力の両方を一手に担う格好となっており,その分,TrinergyのI/Oインタフェース部は,それこそOC Dashboard専用端子や,より多くのUSB端子などを搭載することができるようになっている。
もちろん,サウンドカードとしたのは,アナログ段をマザーボード本体から分離することで,音にノイズが乗るのを防ぐ目的もあるだろうが。
CMOSクリアボタンに誤操作防止用のカバーが取り付けられているのは,OC Genieと間違えて押さないようにという配慮だろうか。
マザーボードの端に,OC GenieとCMOSクリアボタンが用意されている。後者にはカバーが被せられている点に注目。ただ,場所的に,隣接したPCI Express x16スロットに何か差してしまうと利用できそうにない
→MSI「Big Bang-Trinergy」発売直前検証(後)~3-way SLI,OC Dashboard,QuantumWaveをチェック
2009/12/08 10:30
レビュー
MSIのゲーマー向けマザーボード,発売直前検証(後編)
Big Bang-Trinergy
http://www.4gamer.net/games/102/G010213/20091207033/
→MSI「Big Bang-Trinergy」発売直前検証(前)~トピック満載のゲーマー向けマザーボード
3-way SLIの効果は間違いなく存在
一方,2-wayなら通常モデルとほぼ変わらず
以上の結果から,2-wayまでは,nForce 200の有無による差は大きくないと言える。グラフィックスカード当たりのレーン数が倍になるといっても,nForce 200とCPU間の帯域が増えるわけではないので,ベンチマーカーはともかく,ゲーマーにとって,大きなメリットはない。nForce 200は,あくまでも3-way SLIを実現するためのものだと結論づけてよさそうだ。
前編で指摘したとおり,3-way SLIで常用するにはPCケース側がネックになるので,nForce 200を生かし切ることのできる条件は相当に限られるが,3-wayまで行ける拡張性がそこに存在しているのは確か。TrinergyにおけるnForce 200は,そこに魅力を感じられる人向けのギミックといったところになるだろう。
ユニークな機能を持つOC Dashboard
基本的にはOCer向けだが,カジュアルなOCにも使える
前編で述べたように,Trinergyでは,BIOSレベルの“古典的な”オーバークロック機能,最近のMSI製マザーボード上位製品で定番となっている自動オーバークロック機能「OC Genie」のほかに,もう一つ,「OC Dashboard」を使ったオーバークロック機能がサポートされている。
本体は,専用ケーブルのほか,USBでもTrinergyと接続できるというのは,これまた前編で述べたとおり。付属のUSBケーブルと接続したときには,Windows Media Centerレシーバとしても機能するようになっており,OC Dashboardとしてだけ使いたいなら,専用ケーブルだけ接続しておけば問題ない。
ここでポイントになるのは,OC Dashboardを利用に当たり,特別なドライバソフトウェアが不要という点だ。OC Dashboardは,TrinergyのBIOSを直接“叩く”ようになっており,少なくとも筆者が確認した限り,BIOSセットアップメニューの起動中を除いて,いつでも操作を受け付けてくれる。
で,どう使うかだが,基本的には,「いったん指定したBIOS設定の追い込み」になる。例えば,BIOSメニューからCPUコア電圧を1.200Vに指定したら,OC Dashboardから,1.200Vを基準値に増減を行うイメージだ。BIOS側の設定値を「Auto」にしたままだと,システムの動作中に基準となる電圧設定値がふらふらしてしまうので,あくまでも,BIOS側でざっくりとした値を指定してから,設定を追い込むのに使うのが正しい。
OC Dashboardの設定は再起動すると失われてしまい,OC Dashboardの設定内容がBIOS側に反映されることはない。どちらかというと,極限のオーバークロックを目指すような人が,動作中に“カツ入れ”するような用途が想定されているようだ。
ただ,ゲーマー視点で話をするなら,「オーバークロックを試みたところ,OSは起動するけど,ゲームを実行すると落ちてしまう」ような場合に,OC Dashboardから弄って設定を詰め,安定してゲームが動作するのを確認できたら,その値を後ほど,あらためてBIOSから手動設定するといった使い方が考えられるだろう。
●実際にOC Dashboardを使ってみる
起動時のPOSTコードの表示例。POSTコードに加え,初期化しているデバイスも知らせてくれる
OC Dashboardとしての機能は以上だが,この手の外付けデバイスのお約束として,POST(Power On Self Test)コードの表示機能も用意されている。また,起動中に初期化しているデバイス名も知らせてくれるので,「システムが起動しない」というトラブルに見舞われたとき,問題を切り分けるのに役立つだろう。
個人的な余談だが,以前,PCが起動しなくなるというトラブルを抱えたことがある。全然原因が分からず,最後はマザーボードまで交換したところで,USBハブが原因だったことが判明してガックリきたことがあるのだが,こういうアホらしいトラブルも,OC Dashboardがあれば対処できたはずだ。
EAX 5.0対応のQuantumWaveは
ゲーマーが使えるサウンドカードか?
QuantumWave。背品ロゴの隣には,THX,そしてEAX 5.0,Creative ALchemyのロゴが並んでいる
もう一つ,ゲーム用途では重要なサウンド周りについてもチェックしておこう。
Trinergyには,Realtek Semiconductor(以下,Realtek)製のHD Audio CODEC「ALC889」を搭載しつつ,Creative Technology(以下,Creative)独自のサラウンドサウンド技術「EAX ADVANCED HD 5.0」(以下,EAX 5.0)をサポートしたサウンドカード「QuantumWave Audio Card」(以下,QuantumWave)が付属している。前編でも述べたが,
EAX 5.0を利用できるサウンドデバイスは,Creative製サウンドチップ「X-Fi Xtreme Fidelity」を搭載したSound Blaster X-Fiに限られてきたはずなので,Creativeとの共同開発により,QuantumWaveがEAX 5.0をサポートしたのはトピックといえる。
ただ,
冷静になってみると,すでにEAX ADVANCED HD(以下,EAX)は,存在自体が「死に体」である。誤解を恐れずにざっくりまとめると,
Windows Vista/7は,EAXのハードウェアアクセラレーションをサポートしていない。そのため,対応タイトルも,「バトルフィールド2」や「Quake 4」など,
Windows XP世代のごくごく一部のみに留まっており,当然,これから先も普及の見込みはまずないのだ。
付属DVD-ROMのメインメニュー。ここで
「Utility」に用意されたTHX Audio Control Panel。このツールをインストールすると,THX TruStudio PCが有効になるが,それだけでなく,OpenALもセットアップされて,EAX 5.0が有効になる
一方,Creativeの独自技術で,評価の高いバーチャルサラウンド機能「CMSS-3D」は,QuantumWaveではサポートされていない。このあたりは,EAX 5.0で先進性をアピールしたいMSIと,“最後の砦”は守りたいCreativeの思惑によるものではないかと思われる(というか,邪推される)が,結果として
QuantumWaveは,バーチャルサラウンド機能として,CMSS-3Dではなく,「THX TruStudio PC」という技術をサポートすることになっている。
このTHX TruStudio PCは,ALC889のドライバソフトウェアをインストールしただけでは利用できず,別途,Trinergyの製品ボックスに
付属するDVD-ROMから,Creativeの提供する「THX Audio Control Panel」をセットアップする必要がある。このことからして,THX TruStudio PCは,CreativeがTHXからライセンスを受けて開発した技術である可能性が高い。サポートされる機能は下記のとおりだが,CMSS-3Dのサブセットに,いくつか機能追加したものというイメージでも,そう大きく間違ってはいないだろう。
THX TruStudio PC Surround
バーチャルサラウンド機能。効果はともかく,機能的にはCMSS-3Dに似たものだというイメージでいい
THX TruStudio PC Crystalizer
非可逆圧縮されたサウンドにおける「失われた音」の復活を試み,ダイナミックレンジを引き上げようとする機能。Sound Blaster X-Fiの「X-Fi Crystarizer」と同じようなものだ。キツめの音になりがちなので,ゲームで使うのはお勧めしない
THX TruStudio PC Speaker
PC用のいわゆるマルチメディアスピーカーシステムなどで多く採用される小型のスピーカーに向けて,低域の強調を試みる機能。使うかどうかはお好みで
THX TruStudio PC Dialog Plus
映画などで,キャラクターの会話を聞き取りやすくする機能とされている
THX Tru Studio PC Smart Volume
音楽ファイルの音量が異なるのを揃える機能で,「iTunes」などでいうところのノーマライズだ。ゲームにはあまり関係ない
立ち位置を確認したところで,EAX 5.0とTHX TruStudio PCをそれぞれチェックしてみたい。
まずEAX 5.0は,Quake 4を起動してみると,確かに認識している。「EAX 5.0独自機能が確かに機能している」とまでは言えない,というか,判断できないが,EAX系の機能が有効になっていることは試聴印象から判断できた。
EAX 5.0の有効/無効を切り替えても,フレームレートへの影響はほとんどない。
QuantumWaveを差した状態でQuake 4側のサウンド設定を適切に設定。その後コンソールを見てみると,確かにEAX 5.0が認識されている(※いずれのスクリーンショットも,サムネイルをクリックすると,別ウインドウで全体を表示します)
続いてTHX TruStudio PCだが,やはり気になるのは,CMSS-3DHeadphone/3DSurroundのサブセットと思われるバーチャルサラウンド機能,THX TruStudio PC Surroundである。これがCMSS-3Dと同程度の信頼性を持っているなら,もう単体サウンドカードは不要ということになるが,実際のところはどうか。ベンチマークレギュレーション8.3で採用する「Left 4 Dead」のデモを用いて,実際に出力される音を録音してみることにした。
比較対象は,同機能を無効化した状態と,別途用意した「PCI Express Sound Blaster X-Fi Titanium」のCMSS-3DHeadphoneを有効化した状態だ。ぜひ,手元のヘッドフォンで聞き比べてみてほしい。
QuantumWave
デフォルト
QuantumWave
THX有効
X-Fi Titanium
CMSS-3有効
CMSS-3Dと比べると,定位感が一段落ちるが,雰囲気は出ているのが感じ取れるのではないだろうか。少なくとも,使えない機能ではないといってよさそうだ。
なお,THX TruStudio PCは,EAXを利用するタイトルだと利用できない。理由は分からないが,おそらくドライバ側の都合だろう。古いタイトルで,EAXを利用したい場合は,Realtekの標準ドライバに用意されている「ヘッドホンのバーチャル化」という機能を使うしかないようである。
このほか,サウンドカードとしての基本仕様を見てみると,アナログ出力はミニピンによる最大7.1ch出力と,マイク入力をサポート。アナログ出力時は,(Realtekのドライバにより)「Dolby Digital Ex」「Dolby Pro Logic IIx」のデコードに対応する。また,マニュアルには“Dolby Virtual Surround Sound”対応ともあるのだが,これは「Dolby Virtual Speaker」のことだろう。
なお,同軸/光デジタル出力時は,AVレシーバへのデジタルビットストリーム出力もサポートされる。
第1弾としての完成度は高い
安定感,信頼性重視ならアリ
製品ボックス
というわけで,主だったポイントをまとめるだけで,(長いことで定評のある4Gamerの)記事2本分になってしまったTrinergyだが,ゲーマー向けマザーボード市場に向けた第1弾製品として,とにかく豪華に仕上がっている。オールHi-C Capポリマーコンデンサは,さすがにやりすぎ――主要電源周りだけでよかったのではないか――とは思うし,3-way SLIを実現するのに条件があるのは残念だが,信頼性,拡張性,機能面のいずれにおいてもレベルは相当に高いといっていいだろう。
店頭販売は12月18日頃に始まる見込みで,予想実売価格は3万4800円前後(※2009年12月9日現在)。ブランドや機能を問わなければ1万円前後から購入できるP55マザーボード市場を踏まえると,さすがに高いのだが,実現されている機能からすると,十二分に安価ではないだろうか。「たぶん4万円強。最悪,4万5000円超えもあるのでは」と危惧していた筆者と担当編集は,二人して「安いね」と,しみじみ語り合ってしまったほどである。
もちろん,予算に制約がある人向けではない。そういう人は,それこそP55-GD65など,1万円台で購入できる中上位モデルのマザーボードを手に入れ,余った予算をグラフィックスカード代に回したほうが幸せになれるはずだ。
ただ,オーバークロック状態で常用したいとか,とにかく信頼性重視,機能性重視でゲーム用PCのマザーボードを選びたいといった場合に,新しい選択肢が登場してきたことは,たいへん喜ばしい。
また,第1弾からこのデキだと,イスラエルのLucidLogix Technologies製ブリッジチップ「Hydra 200」を搭載し,搭載するグラフィックスカードのGPUを問わずにマルチGPU動作を実現するとされる第2弾も期待できそうだ。
Press release プレスリリース
[新製品] msi、Hi-c CAPポリマーコンデンサ100%仕様のゲーマー向けP55マザー「Big Bang-Trinergy」まもなく発売
2009年12月12日土曜更新 2009年12月12日プレスリリース
エムエスアイコンピュータージャパン株式会社(東京都台東区)は、ATI CrossFireXおよびNVIDIA SLIのマルチグラフィックス機能に対応するIntel P55 Expressチップセット搭載ATXマザーボード「Big Bang-Trinergy」を2009年12月15日より発売を開始する。想定店頭売価は税込34,800円前後の予定。
■NVIDIA nForce200搭載で3-Way SLIを実現するハイエンドモデル
「Big Bang-Trinergy」 想定店頭売価税込34,800円前後(12月15日発売)
http://www.msi-computer.co.jp/products/MB/Big_Bang-Trinergy.html
2009年10月31日、東京・秋葉原で開催されたエムエスアイコンピュータージャパン株式会社主催のユーザーイベント「お客様大感謝祭」の会場で国内初お披露目となったmsiの新マザーボードシリーズ第1弾「Big Bang-Trinergy」が12月15日火曜日より発売されることが正式に発表された。
Hi-c CAPポリマーコンデンサ100%の豪華仕様。電解系コンデンサが無いM/Bは非常にスッキリしている
Intel P55 Expressを搭載するLGA1156対応(Core i5/Core i7 Series Lynnfield)のATXマザーボードで、PCI-ExpressブリッジにnForce 200を搭載する事で、3-Way SLIのマルチグラフィックス機能をx16/x8/x8というレーン構成で構築する事ができるハイエンドクラスのゲーマー向け仕様に仕上げられた。(2-Way SLI時動作はx16/x16で、装着するグラフィックスカードによりレーン数は自動的に切り替えられる)
まず目を惹くのは、マザーボード上には見慣れた電解系コンデンサが一切無く、100% Hi-c CAP(Highly-conductive polymerized Capacitor)ポリマータンタルコンデンサが使われており、高温に強く長寿命、低インピーダンスという特徴を持ち、ボード上はかなりスッキリとした印象。さらに高効率電源回路「DrMOS」を合計15フェーズ搭載。通常電源回路は60フェーズ相当の大出力を実現する。(CPU Vcore用×8/CPU VTT用×2/メモリ用×2/PCH用×2/NF200用×1)また「APS(アクディブフェーズスイッチング)」が搭載され、OSを問わずフェーズ数を自動制御する事ができる。
さらに基板上の隅々をチェックして行くと、ボタン1発で自動オーバークロックができる「OC Genie」機能やタッチセンサー仕様のオンボードスイッチ「イージーボタン2」、スイッチで電圧変更ができる「V-スイッチ」、テスターで各コンポーネントの電圧測定が可能な「V-Chech Point」、CMOSセットアップメニューからのBIOS更新やUSBメモリへのBIOSバックアップに加えてUSBメモリ内のBIOSファイルから起動が可能な 「M-フラッシュ」が搭載され、現状のmsiギミックが満載されている事が分かる。
■msiオリジナルオーディオカード「QuantumWave」と「OC Dashboard」付属
「Big Bang-Trinergy」には2つの付属品が用意されている。Realtek社製ALC889チップ搭載のオーディオカード「QuantumWave」は、対応コンテンツで高い臨場感をもたらすという「EAX Advanced HD 5.0」と「THX」の双方が利用可能なオリジナル品で、Blu-rayディスク等の192KHz/24bit出力に対応する。
添付される「QuantumWave」オーディオカード。8Ch出力対応、I/Oパネル部にS/PDIF光角型出力端子を装備。「EAX Advanced HD5.0」「THX」共に利用可能なmsiオリジナルで、Blu-rayディスクなど192KHz/24bit出力対応
また「OC Dashboard」は、外付けのコントローラーユニットで、同梱のケーブルを基板上にある専用端子に接続する事で使用する。本体には有機LED液晶パネルが装備されており、温度や電圧など各部ステータスがモニターできる上に設定も可能だ。
「OC Dashboard」は、M/B上の専用端子に接続する事で、BIOS設定のカスタマイズが可能 タッチセンサースイッチ。左からGreen Powerスイッチ、Resetスイッチ、ATX電源スイッチが並び、「P55-GD80」を一部踏襲している
その他主要スペックは以下にまとめた通り。2009年を締めくくるに相応しい新シリーズ「Big Band」のファーストリリースは、なかなかのインパクトを持ってまもなく自作市場に乗り込んでくる。
Big Bang-Trinergy 主要スペック
対応CPU Intel LGA1156(Intel Core i7/Core i5 Series)
チップセット Intel P55 Express + NVIDIA nForce 200
メモリ DR3-1333/1066/800MHz DDR3 SDRAM-DIMM対応
メモリスロット4基搭載、最大実装容量16GB
PCI-Express x16 ×3本(PCI_E2、PCI_E4およびPCI_E5、x16+x16またはx16+x8+x8/Gen.2.0準拠)
x1 ×2本(PCI_E1およびPCI_E3)
PCI ×2本
SATA/IDE シリアルATA2×10ポート(P55×6ポート+JMB322×4ポート)
パラレルATA133×1ポート(JMB322)
eSATA 2ポート(JMB363/Power eSATA対応/USBコンボポート)
RAID P55 SATAII RAID 0/1/5/10/AHCI対応6ポート搭載(SATA1~6)
JMB322 SATAII RAID 0/1/JBOD対応×4ポート(SATA7~10)
LAN Realtek RTL8111DL 10/100/1000BASE-T ×2
I/Oパネル部にRJ-45端子×2装備
サウンド Quantum Waveオーディオカード添付
USB2.0 USB2.0 I/Oパネル部に10ポート(2ポートはeSATAと排他利用)
+ピンヘッダにより4ポートの拡張が可能
IEEE1394a VIA VT6315N I/Oパネル部に6ピン1ポート+ピンヘッダにより1ポートの拡張が可能
その他のI/O PS/2×2(キーボード/マウス)
形状 ATX
寸法 30.5cm×24.4cm
TEXT:G&D matrix 松枝 清顕
エムエスアイコンピュータージャパン株式会社
http://www.msi-computer.co.jp/
MSI、3-way SLI対応の「Big Bang-Trinergy」を発売
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20091204/1020914/
2009年12月4日